ITコーディネータ協会(ITCA)によれば、2012年3月末時点でITCの資格を保有している人は、6337人。特定の企業に属さず、独立して活動しているITコーディネータ(ITC)はこのうちの22.3%で、主に中小・零細企業の経営を支援している。しかし、中小・零細企業では、ITに関して大きな予算を取りにくい傾向があり、一部を除いて独立系ITCは、なかなか新たな仕事を獲得しにくい状況にある。

 そんななか、「自治体にはITCの仕事がいっぱいあるぞ」と呼びかけている人物がいる。埼玉県内の自治体を中心に活動している武城文明ITCだ。

 武城ITCは、ITCの資格ができる以前の1990年から、特定ベンダーの製品を提案するのではなく、中立的な立場から企業の経営を支援することを目的に、システムコンサルテーションを行ってきた。この中立の姿勢が評価されて、2004年に埼玉県庁のIT構築・運営を支援する「ITアドバイザー」となって以降は、自治体の仕事が増え、今では事業の中心となっている。

 武城ITCは、自治体のシステム運用コストの見直しや、職員に対する情報セキュリティやIT調達に関する基本的な知識の研修、地域の情報化推進計画の策定などを支援している。これまでに、埼玉県庁だけでなく、志木市や行田市など、県内の約10の地方自治体を支援してきた。平均して、自治体のシステム運用コストを約20%削減するなどの成果を上げている。

 こうした実績が評価されて、11年には総務省の地域情報化アドバイザー、12年にはICT地域マネージャーに就任した。栃木県の大田原市や小山市など、県外の自治体に赴き、IT分野の支援を行っている。

そんな武城ITCは、「全国には、約1800の自治体がある。独立系ITCは約1500人おり、『一つの自治体に一人のITC』は、決して非現実的なことではない。ITCは、民間企業にこだわらず、活動領域を自治体に広げるべきだ」と提案している。実際に、民間企業での案件獲得に苦しむITCを支援するために、10年からITコーディネータ協会と協力して、「自治体ビジネス研修」を月に1回ほどのペースで実施している。自治体の基本的な情報から、受け入れられやすい具体的な提案の仕方までを紹介しており、受講したITCが実際に自治体の案件を獲得している。(真鍋武)