「妊娠していることを知らずに薬を飲んでしまったけれど、赤ちゃんに何か影響はあるのかしら」。東京・世田谷区の「妊娠と薬情報センター」では、妊婦の服薬状況や妊娠過程といった情報を分析し、薬の服用が妊婦と赤ちゃんにどのような影響を与えるかを説明する。

 センターは、2005年、国立成育医療研究センター内に設置された。専門の医師と薬剤師を集めて、「心配ない」とか「○○のリスクがある」などとアドバイスして、これまで約8000件の相談事例を積み上げてきた。

 相談を希望する妊婦は、問診票に必要な情報を手書きで記入し、「妊娠と薬情報センター」に郵送する。スタッフは、届いた情報をシステムに入れてデータベース(DB)化し、妊婦への説明や研究に活用する。

 2012年7月、ITコーディネータ(ITC)の秋山好成氏が率いるキーウェアソリューションズのチームとともに、DBシステムの刷新に着手した。情報を入れやすい操作画面を採用して、データ入力作業が楽になる仕組みをつくり、昨年12月に新しいシステムの稼働を開始した。

 「妊娠と薬情報センター」でDBへのデータ入力を手がけるスタッフは、複数の業務を兼務している。古いシステムでは、データ入力作業で多くの時間を取られ、ほかの仕事に集中できないことがネックになっていた。

 使い勝手のよい操作画面ができるまで、秋山ITCらは「妊娠と薬情報センター」のスタッフと一緒に、試行錯誤を繰り返した。そして、誤入力防止や業務に適したカーソル制御といった機能を備えて、短時間で正確なデータ入力ができるインターフェースにたどり着いた。

 「操作画面は実際に使ってみるまでイメージがつきにくく、リリースした後で『イメージと違う』という結果に陥りやすい。そのため、モックアップ画面をつくり、何度も打ち合わせを行って、認識齟齬の防止に努めた」(秋山ITC)と振り返る。

 「妊娠と薬情報センター」の薬剤師である中島研氏は、「データ入力の手間が減って、研究活動により多くの時間を使うことができるようになった」と喜ぶ。(ゼンフ ミシャ)

病院と研究所を併設する国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)