総務省は、10月15日、統計GIS機能の試行運用を開始した。地図上で任意に設定したエリアの統計データを表示したり、そこにユーザーが保有する各種データを取り込んで分析することが可能になる機能を提供している。防災や都市計画に利用するのはもちろん、民間企業が自社の店舗の売上データを任意の範囲の統計データと組み合わせて分析することで、商圏の設定や地域販売戦略の立案など、マーケティングに広く活用できる可能性がある。オープンデータ活用の経済波及効果を高める取り組みとして、注目されている。
標準APIなど基盤整備も進む
一方で、オープンデータの利用を拡大するための共通基盤整備も進んでいる。「世界最先端IT国家創造宣言」の工程表では、まず、総務省が「情報流通連携基盤共通API」、経済産業省が「情報連携用語彙データベース」の開発・実証を、それぞれ2015年度いっぱいを目安に進めることになっている。
「情報流通連携基盤共通API」は、データモデル、データ表現形式、共通ボキャブラリから成る「標準データ規格」と、「標準API規格」で構成される。総務省は、この実証実験を平成24年度(2012年度)に開始しており、例えば公共交通情報を活用した実証実験で、複数の鉄道やバスの運行情報を共通APIで横串を通して活用し、さまざまな公共交通機関のリアルタイムな位置情報を一つの地図上で閲覧できるサービスや、実際の遅延情報を考慮した最適なルート案内サービスなどが実現できることを検証している。
さらに、総務省統計局は、国勢調査、経済センサス、労働力調査、小売物価統計調査(CPI)、家計調査など、同局が所管する大量かつ多様な統計データを、API機能を利用して、プログラムから簡単に取得できるようにするなど、オープンデータの利用環境の高度化に取り組んでいる。
また、経済産業省は、独立行政法人情報処理推進機構と連携して「情報連携用語彙データベース」の開発・実証プロジェクトを進めている。具体的には、「情報連携用語彙データベースの概念モデルの構築及びパイロットシステムの構築・運用」「情報連携用語彙データベースと連携するデータ設計・作成支援ツール群の試作及び試用並びに概念モデルの構築」という二つの事業をすでに開始している。(本多和幸)