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<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> 目指せ! 最高の栄誉、エッカート賞――ユニシス研究会

2014/01/06 20:28

 論文や研究活動の表彰制度を設けているユーザー会は多い。優秀なものには賞金のほか、イベントなどで発表の機会が提供される。ユーザー会活動の活性化には欠かせない制度だ。日本ユニシスグループのユーザー会、ユニシス研究会にも同様の制度があるが、ユニークなのは最優秀賞に「エッカート賞」という名を冠していることだ。

日本初のユーザー団体「レムランド研究会」が起源

 ユニシス研究会の起源は、1953年3月に、パンチカードシステムを中心とするコンピュータ関連技術や新知識の紹介、事務機械化などに関する情報交換の場としてスタートしたユーザー団体のレムランド研究会だ。54年には、機関誌『Remington Rand SYSTEMS』を創刊。62年にはユニバック研究会、71年にはバロース研究会に改称し、76年には別途ユニバック研究会が立ち上がり、89年にバロース研究会とユニバック研究会が統合して現在のユニシス研究会になった。

 会員は、現在約600社。最大規模の関東支部で約200社になる。会員数は微増の傾向にあるという。「600社くらいが適切という声もあるが、今後も積極的に会員数を増やしていきたい」と、日本ユニシス広報部でユニシス研究会を担当する小幡知行事務局長は考えている。

最高の栄誉「エッカート賞」

 ユニシス研究会は、ユーザー誌『こらぼれーしょん』を年3回発行している。発行のタイミングは、ユニシス研究会の3大イベント「全国カンファレンス」「全国フォーラム」「研究活動発表会」の終了後。各イベントのレポートを特集記事として掲載することで、参加できなかった会員に情報を提供することが大きな目的だ。

 ユニシス研究会の最大規模のイベント、全国カンファレンスは、毎年6月に開催する。2013年は約2000人が参加し、研究活動の成果発表や論文の発表のほか、ユニシス研究会で最高の栄誉にあたる「エッカート賞」の表彰を行った。

 エッカート賞は、世界初の商用コンピュータ「UNIVAC I」の生みの親、ジョン・プレスパー・エッカートにちなんで設けた賞で、すぐれた論文・研究活動などを通じてユニシス研究会に多大な貢献をした個人・グループを対象に、1996年から表彰している。ちなみに「UNIVAC I」を発売したレミントンランドは現在のユニシスで、エッカート賞はいかにもユニシス研究会らしい表彰制度だ。

 全国フォーラムは、毎年秋に開催。開催地は関東以外の全国8支部のもち回りで、2013年は仙台で開催し、参加者は約500人だった。毎年、開催地に関係する講演などがあることから、13年は東日本大震災からの復興がテーマの一つとなった。また、エッカート賞の受賞グループによる研究成果の発表も行った。

 そして、研究活動発表会。ユニシス研究会で行っている1年間の研究成果を発表する場として、毎年3月頃に開催する。2013年は350名が参加、全国28のグループが成果を発表した。優秀論文の表彰式もここで行っている。

 研究活動は、ユニシス研究会で最も力を入れている活動だ。研究会の参加者はIT部門が多く、なかでも若手社員は外出の機会が少ない。社外での交流は貴重な経験になる。そのニーズに応えるのも、研究活動の目的の一つ。小幡事務局長によれば、「研究活動に参加した若手社員からは、研究活動を経験して変わった、知見が増えた、という感想が寄せられている」。

私見としての「論文」も

 論文活動も盛んだ。自社の事例を文章として残すのが目的だったり、教育の一環として取り組んだりするケースが多いが、おもしろいのは私見としての論文もあるということ。そこには、日頃の活動から得た自身の考えを世に出したい、という会員の思いがある。論文集めに苦労しているユーザー会が多いなかで、こうした動きがあるのは、エッカート賞の効果だといえそうだ。

全国カンファレンス2013での発表会
【概要(2013年12月現在)】
入会資格:日本ユニシスグループのユーザー企業・団体
入会金:なし
会費:2万4000円/年
会長:幸重孝典(全日本空輸)
主な活動:年間の研究活動。全国カンファレンス、全国フォーラム、研究活動発表会の3大イベント。セミナー、講演会、企業見学会、海外事例スタディツアーなど
会報誌:『こらぼれーしょん』(年3回発行)
会員企業数:約600社
発足:1989年(前身のレムランド研究会は1953年設立)
その他:FISA(情報システム・ユーザー会連盟)加盟
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外部リンク

ユニシス研究会=http://www.yuni-ken.gr.jp/