キヤノンITソリューションズ（キヤノンITS）の「正規品判定システム」は、複製を不可能とする安価なICチップと、ICタグを読み取るNFC機能を採用したスマートフォンの普及という二つの要素が揃ったことで誕生した。すでにキヤノンが中国で販売するカメラ製品の一部に活用しているが、今後は、例えば自動車部品や医薬品などの正規品判定にも応用していく考えだ。キヤノンITSの伊藤正紀執行役員は、「電機電子系だけでなく、人の命に深く関わる医薬品や自動車部品も正規品判定に対するニーズがある」とみて、中国やASEAN、中南米など成長市場を中心に、さまざまな業種への横展開に力を入れる。

「正規品判定」ニーズに応える

　カメラの場合、ユーザーが店頭で購入するにあたって手持ちのスマートフォンを製品パッケージにかざして正規品であることを確認するわけだが、その際に「ユーザー登録」まで行えば、「ユーザーの手間が省けるだけでなく、ベンダーは顧客管理（CRM）に役立てることができる」という。購入場所やユーザー属性などをリアルタイムに近いかたちで収集すれば、CRMやマーケティングに応用できるとみる。ICタグや真贋判定のデータベースは、開発元の凸版印刷から購入したものだが、キヤノンITSはCRMやマーケティングの仕組みなどで独自性を打ち出し、サービスの付加価値を高めることでビジネスの拡大につなげる。（安藤章司）