新IT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」の最後の大目標である「公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現」に向けては、(1)利便性の高い電子行政サービスの提供(2)国・地方を通じた行政情報システムの改革(3)政府のITガバナンス強化──という三つの施策を掲げている。
公共データのオープンな利用環境を構築
「利便性の高い電子行政サービスの提供」でキーになるのは、社会保障・税番号制度やオープンデータの推進といった取り組みと連動して、行政がもつさまざまなデータを民間も含めて広く活用できる仕組みをいかに構築できるかという点だ。データ・フォーマット、用語、コード、文字などの標準化・共通化、APIの公開などを行い、クラウドを活用したオープンな利用環境の構築に取り組む。
具体的な取り組みの主体は、内閣官房、経済産業省、総務省だ。まず、経済産業省は、行政サービスの基本語彙の定義などをまとめたデータベースを開発し、パイロットシステムでの実証を行う。一方、総務省は、オープンデータ流通推進コンソーシアムと連携し、分野を越えたデータの流通、連携、利活用を効果的に行うために必要となる「情報流通連携基盤共通API」の開発・実証に取り組む。さらに、これらを踏まえて、内閣官房が施策全体の具体的なアクションプランを策定する。
また、内閣官房と総務省は、行政サービス分野でオンライン手続きの利便性を高めるためのガイドラインも作成するほか、番号制度を行政事務の効率化だけでなく、さまざまな民間サービスの個人認証に活用できるようにし、それらの共通の窓口をインターネットを通じて提供する「マイポータル」の整備を進める。さらに総務省は、マイポータルを通して国民に提供するコンシェルジュ型サービスも検討する。(本多和幸)