IT企業の営業現場を統括し、経営層が打ち出す「方針」を「受注」につなげることによって、ビジネスの成長を支える営業マネージャーたち。これまで29人の方々にご登場いただき、活躍ぶりについて語ってもらった。社内外の営業シーンで輝く彼らに共通するものは何か。変化が激しい時代、営業マネージャーに求められるスキルとは? 取材を振り返って答えを探った。(構成/ゼンフ ミシャ)
情熱をもって取り組む
「数字に厳しく、やさしい上司」「喜怒哀楽を表に出す部長」「戦うチームを率いる女性の大将」。これまでこのコーナーで登場した営業マネージャーたちは、さまざまな経歴や背景をもっており、部下を掌握して現場を動かすマネジメントスタイルも十人十色だ。部下をきめ細かく指導・管理してトラブルを未然に防ぐ人もいれば、あえて失敗させることで成長につなげるという人もいる。
共通しているのは、仕事に対する情熱と高いプロ意識だ。営業は数字が命。案件の進捗管理を徹底し、目標達成につなげることが何より大切だ。しかし、数字ばかりだと、営業活動のやり甲斐が湧いてこない。お客様とのコミュニケーションの楽しさや、知恵を絞って先方に響く提案書をつくったときの充実感を部下たちに味わわせることこそが、営業マネージャーの腕の見せどころだ。上司が仕事に励む懸命な姿を見せれば、部下たちも提案活動に力を入れるモチベーションを自然と高めることだろう。
話し役から聞き役へ
クラウドの登場によって、ITの提供の仕方が大きく変わってきた。IT活用で客先のビジネスの課題を解決する「ソリューション」の提案を掲げる企業が多い。ソリューションは、決まったパターンがないので、技術部隊にどんなシステムをつくらせるかについては、ユーザーと密に接する営業担当者の役割が自ずと大きくなる。営業担当者は「弊社にはこんな製品があります」というような単なる宣伝マンになるのではなく、「御社が悩んでおられることは何ですか」とたずねて、課題やニーズを吸収することがこれまで以上に大切になる。
営業マネージャーは、言葉やものの見方が違う営業担当者と技術をうまく連携させる「通訳」になる必要がある。部下たちが得てきた情報を製品開発に反映し、それを踏まえてつくったソリューションの特徴をかみ砕いて、部下や提案先にわかりやすく説明するというスキルが欠かせないといえるだろう。
市場を取り巻く環境の変化が激しく、IT企業の従来のビジネスモデルが崩壊しつつあるなかにあって、営業マネージャーは、部下の成長はもちろんのこと、自らの成長も常に心がけることが肝要だ。
次号からデザインを一新
「営業マネージャーたちの最前線」の連載は今後も継続します。次号からは、写真のレイアウトやデザインを一新して、営業マネージャーたちの活動ぶりをさらにリアルに浮き立たせます。