経済産業省商務情報政策局
(左上から)情報政策課長 間宮淑夫 氏、情報処理振興課長 江口純一 氏、情報経済課長 佐脇紀代志 氏、情報通信機器課長 荒井勝喜 氏 ユーザーと連携した新ビジネス創出に期待
国産ITベンダーに対しては、4氏とも、グローバルで市場を切り開くような活躍をしてほしいという非常に高いレベルの期待を寄せている。ただし、その前段で、荒井勝喜・情報通信機器課長は、既存のITベンダーについて、「受託ソフト開発のようなビジネスモデルは崩壊していることを認識したほうがいい」と指摘する。
国産ベンダーの具体的な戦略としては、経済産業省が「IT融合」と銘打って進めてきた、ユーザーと連携した新ビジネスの開拓をさらに進めるべきという意見が目立つ。江口純一・情報処理振興課長は、「ITベンダーには、ユーザーの業務をよく理解したうえで、最新のITで何ができるのかを提示していく役割が課せられている。ユーザーとともに業種特化型のソリューションを開発し、それを同業の企業に水平展開する事例も出てきているので、ユーザーとの強いつながりは、ITベンダーにとって新たなビジネスチャンスにもなるはず」と訴える。また、佐脇紀代志・情報経済課長は、「ビッグデータなどを活用した新ビジネスは、日本経済そのものを大きく成長させるポテンシャルがあるものの、ユーザー企業はそうしたイメージを抽象的にしか理解できていない。これからのITベンダーには、ユーザーの懐に入り込んで、一緒にデータ活用型の新しい産業を創造する、ビジネスプロデューサーとしてのセンスと気概が求められる」と、さらに踏み込んだ提言をしている。
リスクはあるが成長のための投資が必要
一方、間宮淑夫・情報政策課長は、ITベンダーが既存の資産を生かして新しい市場を開拓する手法も、まだ有効だと説く。「例えば、Appleはハードとソフトの組み合わせで新しいビジネスを成功に導いた。サービスとモノを組み合わせ、従来とは違う角度から新しいソリューションモデルをつくり出すことができれば、チャンスはある」(間宮課長)。
リスクを恐れず成長のための投資をすべきという声も大きい。端的にコメントしてくれたのは佐脇課長で、「先が読めるビジネスだけをやっていては、将来期待できる成長の度合いもたかが知れている。日本のITベンダーも、世界の先陣を切って、R&DやM&Aなどへ先行投資をしてほしい」と話す。また、荒井課長は、「既存ベンダーには、ITベンチャーへの投資やスピンオフなど、新しい組織に事業を担わせる工夫も必要」と、組織整備のための投資も不可欠だとの見解を示した。(本多和幸)