経済産業省商務情報政策局
(左上から)情報政策課長 間宮淑夫 氏、情報処理振興課長 江口純一 氏、情報経済課長 佐脇紀代志 氏、情報通信機器課長 荒井勝喜 氏 規模が際立つエネ対特会の3事業
最新の経済産業省のIT施策では、平成26年度のエネルギー対策特別会計から予算が計上された、「中小企業等のクラウド利用による革新的省エネ化実証支援事業」「大規模HEMS情報基盤整備事業」「クリーンデバイス多用途実装戦略事業」という三つの事業の規模が際立っているといえよう。それぞれ情報処理振興課、情報経済課、情報通信機器課が担当しており、予算は3事業合わせて80億円以上を確保している大型プロジェクトだ。
「ユーザー企業が、単純なコスト削減などではなく、売上増や新たな付加価値の提供を目指す“攻めのIT投資”の比重を高めるための取り組み」(江口純一・情報処理振興課長)、「デジタルデータを活用した業種横断的な新ビジネスを創出する『データ駆動型イノベーション』というトレンドを浸透させていくための新たな施策」(佐脇紀代志・情報経済課長)、「自動車やインフラ、エネルギー、ヘルスケアなどの領域に、デバイスとアプリケーションを組み合わせてシステム化した提案をするために、必要な技術を標準化、共通化するなどして、ビジネス基盤を整備していく」(荒井勝喜・情報通信機器課長)と、各課長とも成果の最大化に向けて、並々ならぬ意欲を燃やしている。
ITベンダーのビジネス基盤構築に重点
情報処理振興課の江口課長のコメントが象徴するように、近年、経産省のIT施策はユーザー企業向けのものが多かった。しかし、これら3事業は、ITベンダーのビジネス基盤づくりに重点を置いているのが特徴になっている。「中小企業等のクラウド利用による革新的省エネ化実証支援事業」を例にとってみても、中小企業のクラウド対応データセンター(DC)活用に補助金を出すだけでなく、中小DC向けのクラウド基盤ソフトの導入実証や、ITとファシリティを統合したDCの省エネ指標づくりも進めている。
一方、同省IT政策全般の舵取り役を担う情報政策課の間宮淑夫課長は、「ビッグデータ/オープンデータ利活用促進」「情報セキュリティ対策」「IT産業振興」という三つの政策課題に取り組んでいるが、「とくにIT産業の振興については、新しいビジネスモデルを探求する必要が出てきていて、それを政策で支援するのは難しい」と、立ちふさがる壁を口にする。まずはベンチャー支援などを地道に展開していく方針だ。(本多和幸)