ウェアラブル端末の進化・普及に拍車がかかっている。例えば「Apple Watch」や「Google Glass」「Android Wear」搭載端末。アップルとグーグルのスマートデバイスのリーダーが相次いでウェアラブル端末の開発に乗り出すとともに、製造分野では世界大手のサムスン電子、LGエレクトロニクス、そしてモトローラ・モビリティなどのメーカーがAndroid Wearを搭載した製品を相次いで発表している。この連載では、こうした世界の潮流を踏まえたうえで、ウェアラブル端末がビジネスシーンでどう活用されるのかを追う。

　ウェアラブル端末は単体で動作するものではなく、基本的に「スマートデバイスなどを補完する存在」になる。スマートフォンの登場によって、パソコンの画面を見る時間が減ったのと同様、ウェアラブル端末によって、今度はスマートフォンを見る時間が減少するとみられる。とはいえ、漠然と“小さなデバイス”と認識しているのでは本質を見誤る。ウェアラブル端末に詳しい野村総合研究所（NRI）の亀津敦・基盤ソリューション企画部イノベーション事業グループ上級研究員は、「ウェアラブル端末の後ろにはスマートフォン、さらにその後ろには巨大なクラウドサービスとつながっている全体像を理解する必要がある」と指摘する。

　スマートデバイスがビジネスシーンで、もはや欠かせない存在になっているのと同様、ウェアラブル端末もスマートデバイスを拡張・補完する存在としてビジネスでの活用が急ピッチで進んでいる。次号から、個別事例をレポートする。（安藤章司）