日立製作所グループのマイナンバー(社会保障・税番号)制度への対応支援サービスは、日立製作所とその傘下の主要SIerである日立システムズ、日立ソリューションズの主に3社で取り組んでいる。日立システムズは強みとするセンター業務を応用して、主にBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)方式で臨み、日立ソリューションズはユーザー自身がマイナンバーを管理することを念頭に、各種の情報セキュリティや管理システムを提供する方式を採用している。
今回は、BPO部分を担当する日立システムズに焦点を当てる。SIerが手がけるBPOはITやインターネットを駆使し、手作業やアナログ部分を極力排除して効率化するイメージが強い。実際、日立グループの各種データセンター(DC)やBPOセンター運用の中心的役割を担っているのが日立システムズであり、これらセンターは最新鋭のITを駆使したハイテクセンターに仕上げている。ところが、ことマイナンバーに関しては「アナログ手法を駆使して、徹底的にマイナンバーを閉じ込める」(日立システムズの中田龍二・クラウドサービス拡販本部本部長)という方法を採用した。
具体的には、従業員や扶養家族などのマイナンバーは、専用の封書を使ってセンターに集める。完全に外界から遮断されたセンターでは、OCR(光学式文字読み取り装置)とオペレーターによる目視でマイナンバーをデジタル化。即座に暗号化処理を施して、専用データベースに保管する。一方、ユーザー企業からは支払調書などの帳票をセンターに送ってもらい、センター内でマイナンバーを付与し、センター内に設置してあるプリンタで出力。紙の印刷物にしたマイナンバー入りの帳票は専用の宅配便でユーザーの事業所へ送り届け、ユーザーはそれを役所に提出する段取りだ。
どうしてもユーザーの事業所内でマイナンバーを管理したいといった要望があれば、個別に対応することも検討するが、「原則としてデジタル化されたマイナンバーを当社センター外に持ち出すのは推奨していない」(同)と言い切る。日立システムズのマイナンバーBPOサービスの設計にあたっては、安全側に大きく重心を置いているのが最大の特徴である。また、マイナンバーの収集・管理部分を完全にユーザーの業務システムから切り離してしまうことで、ユーザーの既存の業務システムの影響を最小限に抑えるとともに、今後、マイナンバーに関する制度改正にも柔軟に対応しやすい設計にした。(つづく)(安藤章司)