スクラッチのシステム開発を強みとしているコンピューターシステムハウス。「スクラッチ開発は儲かる」と薮内利明・代表取締役社長は力強く語る。創業時から利益を確保し続けていることもあって、スクラッチ開発を中心とするビジネスモデルに確固たる自信をもっている。世の中には安価なパッケージ製品もあるが、まったく負ける気がしないという。また、「儲かった分は社会貢献に使わなければいけない」という薮内社長の方針から、NPO支援などの社会貢献活動も積極的に行っている。(取材・文/畔上文昭)
Company Data会社名 コンピューターシステムハウス
所在地 福島県郡山市
資本金 1000万円
設立 1981年1月
社員数 15名
事業概要 ステム開発・保守、パソコン関連機器販売、最適システム提案業務など
URL:http://www.csh-web.co.jp/ 契約継続率は90%以上

薮内利明
代表取締役社長 1981年設立のコンピューターシステムハウスは、オフコン全盛の時代にあって、いち早くパソコンを主軸に置き、スクラッチのシステム開発に取り組んできた。オフコンよりも安価なパソコンということもあり、スクラッチ開発でも費用を抑えられるとして、ユーザー企業の支持を獲得してきた。
社員は15人。全員がエンジニアで、営業職は置いていない。エンジニア自身が顧客とのコミュニケーションを密にすることで、営業的な役割も担っている。
スクラッチ開発のいいところは、ユーザー企業のニーズを反映しやすいというところ。「例えば、社長専用のメニューなどは、一般的なパッケージ製品にはない。企業のトップのニーズを社員に知られないかたちで用意できるのも、スクラッチ開発のメリット」と薮内社長は語る。
導入コストを考慮すると、同じ分野のパッケージ製品があれば、ユーザー企業はそちらを選びそうだが、同社では90%以上のユーザー企業が契約を継続するという。ちなみに、コンピューターシステムハウスでは、スクラッチで開発したシステムに保守期限を設けていて、その期限を超えた利用は基本的に認めていない。保守期限を迎えると、最新のIT環境にあわせた改修などの対応を経て、新たに保守契約を結ぶようにしている。継続して開発案件を確保するためだ。ユーザー企業からしたら割高になりそうだが、ユーザー企業が望む最適なシステムを構築することで、囲い込みに成功している。
ユーザー企業のリピート率が高いことから、無理に新規顧客を開拓する必要がない。社員15人で対応できる範囲で十分という方針である。なお、薮内社長は15人という社員数がベストだと考えている。「当社が社員に要求するスキルは非常に高い。そのためには社員を伸ばすための環境が必要となる」。少数精鋭も利益確保のポイントとなっている。
儲けは社会に還元する
「システム開発で儲けるためのノウハウが当社にある」と自信をもっている薮内社長は、ノウハウの継承者を社外に求めている。コンピューターシステムハウスがSIerでありながら、起業支援をしているのはそのためだ。
「当社がなぜ儲かるのか。哲学を継承したい。当社の哲学に乗ってくれるなら、積極的にサポートしたい」という。1000万円を出資するなど、資金面でのサポートも用意している。
また、「儲かった分は社会貢献に使わなければいけない」という方針の下、NPO支援などの社会貢献活動も積極的に行っている。具体的には、NPOルワンダ教育を考える会、福島市のこども施設「こむこむ」、郡山市「こども未来館」などの活動を支援している。
起業支援も社会貢献活動の延長にある。「当社のように寄付や社会貢献活動をする企業が増えることになる」。薮内社長が“哲学を継承したい”としているのは、そのためだ。
テレワークを積極的に推進
コンピューターシステムハウスは、テレワークを積極的に推進している。その制度を利用している正社員は、3人。親の介護などを目的に、福島県外で働いている。
「介護のために、優秀なエンジニアが仕事を辞めなければならないことがある。もったいない話だ。テレワークは、仕事の場所を選ばない。介護のために実家に戻るとしても、仕事を辞める必要がない。また、兼業農家としての働き方にも対応できる」と薮内社長。地方創生の切り札としても注目されているだけに、いずれは全社員がテレワークで働けるようにしたいと考えている。
ただし、テレワークが万能なわけではない。「入社5年以内は難しい。仕事を覚えないといけないし、社風の理解も必要。ベテランで人脈をもっているエンジニアが向いている」とのこと。テレワークで得たノウハウも、積極的に社外に発信していく考えだ。