視点
日中ビジネスの保障「契約を疎かにすべからず」
2015/10/15 16:41
週刊BCN 2015年10月12日vol.1599掲載
中国は、契約があってもないのと同じだと言われるが、約束事を取り決めるという意味では、中国は日本以上に契約社会だと言っても過言ではない。
中国のIT企業とつき合えば、担当者が代わって、以前のことは知らないと言われ、支払い条件や納期などの約束を反故にされる状況によく遭遇する。「約束が違う」の一言を発端に、言った言わないの論争になる。
約束事を守るという意味では、中国はまだまだ契約社会ではない。もし書面にした契約書がなかったり、約定が曖昧だったりする場合、最初から守られるべき約束自体が存在しないことになる。話し合いでの決着は、よほどメリットがない限り難しい。そして訴訟になった場合、裁判官の心証は完全にこちらに傾いたとしても、結局契約上の根拠がないことで、敗訴するケースも少なくない。
口約束したとしても、状況が変われば約束も約束ではなくなることは、契約意識の「薄い」中国の一般的な考え方だが、その一方で、契約で約束事として決めなければならない事項を、安易に口約束や暗黙の了解にゆだねると、これだけ大事なことをなぜ契約に盛り込まなかったのか、契約しなかったほうが悪いという、ドライで「強い」契約意識も中国では一般化している。
きちんと契約にしておけば、担当者が代わっても、解釈が異なっても、「契約条項はこう書いているではないか」と、大義名分で優勢となるだけでなく、相手を納得させ、遵守してもらえる。また、「契約条項から、訴訟に発展したら、ますます損をするので、守ったほうがメリットがある」との説得も可能となる。交渉し、契約する段階でも、「性悪説」になるが、「性善説」のままで契約しない、また契約を疎かにし、トラブルとなった場合、間違いなく泥沼化する。契約重視の意識が、欧米系企業から中国の国有企業に浸透しているのも事実で、執務経験のある法務を積極的に採用する企業もかなり増えてきている。
口約束や阿吽の呼吸は、世界では通じない。きちんと書面化することが、世界では常識だとの認識をもたなければならない。即ち、約束を約束として固める役目が契約書であり、中国だからこそ、契約は疎かにできない。また、なぜ日本とこうも違うのかを問うよりも、中国では、日本と違うのはあたりまえだという心構えが必要だ。
中国は、契約があってもないのと同じだと言われるが、約束事を取り決めるという意味では、中国は日本以上に契約社会だと言っても過言ではない。
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