東海地区の有力な独立系SIerであるトーテックアメニティは、近年、首都圏でのビジネスを強化している。よりパイの大きな市場で、成長の基盤を確立しようとしているのだ。課題は、大きく二つ。自社のパッケージ商材を生かし、業種特化のノウハウを生かし、新規の案件を増やすこと。そして、既存ビジネスの中心であるSES(System Engineering Service)も含め、いかにして人材を確保するかだ。(取材・文/本多和幸)
Company Data会社名 トーテックアメニティ
本社所在地 名古屋市、東京都
資本金 1億8062万円
設立 1961年6月
社員数 1922名
事業概要 エンジニアリングサービス事業、ITソリューション事業
URL:http://www.totec.jp/ 未経験の社会人をSE採用

高木一夫
執行役員
テクニカルサービス事業部
事業部長 トーテックアメニティは、愛知県内最大の富士通パートナーでもあり、基幹産業である自動車産業はもちろんのこと、流通、医療、公共など幅広い領域でビジネスを展開してきた。しかし、東海地区だけの限られたマーケットでは、継続的な成長を実現するのは難しいことから、近年、首都圏でのビジネス拡大に注力してきた。そのミッションを担う高木一夫・執行役員テクニカルサービス事業部事業部長は、「現在では、全社のビジネスボリュームの約25%を首都圏が占めるようになっている」と手応えを語る。
技術者も年々増やしており、首都圏だけで約300人のシステムエンジニアを抱えるようになっているが、8~9割はSEを派遣するSES事業にあたっている。既存ビジネスの中心だったSESと受託開発で、まずは首都圏での売上基盤をつくったかたちだ。ただし、現状ではこの技術者の人手不足が大きな課題になっている。高木事業部長によれば、「当社は人材が命のビジネスモデルなので、人材確保は重要視しているが、需給バランスは需要側が大きい状況。全国的にSIerの技術者不足は問題になっていると聞く。当社も、中途採用で即戦力の募集は続けているが、大手ベンダーが積極的に採用を増やしていることもあり、なかなか厳しい」という。
同社は、新卒採用に舵を切り、毎年全社で100人ほど採用しているが、彼らが戦力として活躍するまでにはある程度時間がかかるのも事実。そこでテクニカルサービス事業部では、首都圏で働く技術者確保・育成のための「ITエンジニア育成プロジェクト」という取り組みを新たに始めた。IT業界未経験の20代の社会人を、SEとして採用し、育成するという取り組みだ。高木事業部長は、「これはかなり成果が期待できる」という。
「社会人としての経験を経てIT業界で手に職をつけ、SEとしてキャリアを積みたいと考えている人たちが応募してくるので、非常に意欲が高い。客先常駐の仕事が多く、元請けのベンダーやクライアントとのコミュニケーションが必要となる場面もあるが、彼らは社会人としてのビジネスマナーはある程度確立されているので、新卒入社の社員に比べてより早く戦力になってくれる」。
自社商材で文教市場を開拓
一方で、SESビジネスは安定しているが、他社との差異化が難しく、利益率も高くないため、首都圏での成長には、SI案件の新規顧客開拓が欠かせない。そこで力を入れようとしているのが、文教市場、とくに大学向けの提案だ。高木事業部長は、「首都圏でも、細分化したところで強みのある業種・業界をつくっていかないと競争に生き残れない」と危機感をあらわにする。
その際、武器になるのが、ネットワークフォレンジックサーバー「NetRAPTOR」や、大容量ファイル送受信クラウドサービス「EASY FILE EXPRESS」といった自社商材だ。両製品と、FFRIのマルウェア検知システム「FFR yarai analyzer」の連携や、アラクサラネットワークスのルータ製品とNetRAPTORを連携させたサイバー攻撃・内部不正対策のネットワークフォレンジック・ソリューションなども整備している。
「セキュリティ分野では、他のメーカーとも連携して、非常に裾野広いソリューションをラインアップできている。文教市場は、こうしたパッケージソリューションを受け入れてくれやすい傾向があるマーケット。お客様ごとのカスタマイズ提案などにより、顧客満足度を上げていく」と、高木事業部長は見通しを話す。また、富士通のパートナーとして、「大学の基幹系である事務システムなどは実績がある」(高木事業部長)という。そうした経験とノウハウも生かし、文教市場の新規顧客獲得につなげる考えだ。
さらに、クラウドにも注力する。高木事業部長は、「ここ数年、官需にしろ民需にしろ、お客様からのクラウドへのニーズは飛躍的に高まっている」と感じている。富士通は昨年、今後のクラウド戦略の柱となるパブリッククラウドIaaS/PaaSの「K5」をリリースしたが、トーテックアメニティはこのK5の開発にも参画していたという強みがある。これを生かし、K5上でのシステム構築や、自社商材のクラウド化を進め、顧客層を拡大していく方針だ。