「大分県ではITを活用していない企業がまだまだ多い」と、ゴードービジネスマシンの小野敬一・代表取締役社長は感じている。ユーザー企業側にありがちなのは、現状に問題がないのであればIT投資をする必要がないというスタンス。そこに切り込むのは簡単ではないため、多くのSIerが開発案件を求めて県外へと出ていくことになる。ところが、小野社長は「地元の企業が最優先」と語る。大手SIerにはないフットワークのよさを生かして、地元企業のIT化に貢献している。(取材・文/畔上文昭)
Company Data
会社名 ゴードービジネスマシン
所在地 大分県大分市
資本金 5620万円
設立 1983年10月
社員数 25人
事業概要 OA機器・オフィス機器、備品と関連消耗品の販売。ソフトウェア受託開発。情報通信工事
Company Data会社名 ゴードーテレコム
所在地 大分県大分市
資本金 2000万円
設立 1992年1月
社員数 15人
事業概要 ソフトウェアの受託開発、IT機器の活用企画と技術サポート
URL:http://www.godobm.net/ リーマン・ショックが転機

ゴードービジネスマシンの小野敬一・代表取締役社長(左)と大熊洋司・企画事業部/教育事業部部長 OA機器の販売を手がける企業として、1983年10月に大分市で創業したゴードービジネスマシンは、95年頃からシステム開発事業に参入した。多くの案件が大手ITベンダーに常駐するSES(System Engineering Service)で、参入後は順調に業績を伸ばしていた。
ところが、リーマン・ショックが起きると、開発案件がゼロになってしまう。「エンジニアがすべて常駐先から戻ってくることに。エンジニアに営業などの別の仕事を任せるのも簡単ではないため、自宅待機にして、雇用調整助成金でしのいでいた。ただ、自宅待機は退屈なため、次第に仕事をしたいとの声がエンジニアから出るようになってきたことから、新たなビジネスを模索することになった」と、大熊洋司・企画事業部/教育事業部部長は当時を振り返る。そこで始めたのが教育事業である。
「自治体が職業訓練の場を求めていて、支援を受けられることから、パソコン医療事務の教室を開いた。当社で医療情報システムを扱っていて、エンジニアが講師として対応できたことと、医療事務関連の人材にニーズがあったため、順調にスタートすることができた」(大熊部長)。教育事業への参入が奏功し、リーマン・ショックは無事に乗り切ることができたという。
なお、システム開発を手がけるのはゴードーテレコムという別会社だが、ゴードービジネスマシンを前面に営業活動をしているため、ここではゴードービジネスマシンの取り組みとして紹介する。
不景気に強いビジネスを模索
リーマン・ショックの経験から、SESを避けていたゴードービジネスマシンだが、数年前に再開したという。「大手ITベンダーからのSES案件は、長期の案件となることが多く、若手の育成に向いていると判断したため」と小野社長は語る。
とはいえ、リーマン・ショックの二の舞は避けなければならない。そこでゴードービジネスマシンは、経済不況の影響が都市部よりも緩やかな地元企業の元請け案件に注力している。「OA機器の販売といった当社の経験を生かして、大手では対応できないような個々のニーズに応えることで案件獲得に結びつけている」と、小野社長はフットワークのよさを強みとして挙げている。
大分県では、まだ多くの企業で「今まで通りで十分」とのムードがあり、システム化が進んでいないという。「ITの効果を説明しても、なかなか納得していただけない。営業活動が本当に難しい。ただ、試しに使っていただければ、便利さに気づいてもらえるため、システム化につながっていくとの手ごたえはある。そのためには、きっかけの商材が重要になる」と、小野社長は考えていて、とくに事務処理の効率化につながるツールなど、現場の評価を得やすいものに注力している。
もう一つ、景気に左右されにくい事業として、ゴードービジネスマシンは昨年から自社開発パッケージに取り組んでいる。オープンソースをベースとしているため、導入コストを抑えられるところが強みだ。
「現在提供しているのはERPパッケージ。大手のERPよりも、10分の1ほどのコストで導入できる。すでに3社から受注することができた。ERPパッケージを足がかりに、今後は全国へと展開していきたい」と小野社長。ERPパッケージが堅調にスタートしたこともあり、現在は医療系や介護系のパッケージシステムも開発しているという。
また、小野社長はパッケージシステムのクラウド化にも注力していく考えだ。「月額課金が軌道に乗れば、他の事業で売り上げがなくても、ある程度の利益を確保できる。当社は複合機などを扱ってきているので、月額課金のビジネスには慣れている」。クラウド化は、全国展開にも優位に働くと期待できる。
大分県の景気について、小野社長は「まずまず」と語る。ただ、IT人材に関しては他県と同様に不足しているとのこと。そこでゴードービジネスマシンでは、素質で採用することを心がけているという。「以前は経験者を採用していたが、仕事の多くがエンドユーザー対応であることから、最近は人間性で選ぶようにしている。とくに、素直な人、勉強熱心な人がいい」。ビジネスの多様化を推進したことが、経営の安定だけでなく、人材採用にもプラスになったといえるだろう。