製造業が多い長野県に本社を置くシステムプラン。機械系CADなどを取り扱い、カスタマイズや周辺システムの開発、運用支援サービスなどを主力の事業としてきた。ところが、システム更新のサイクルが長くなる傾向になり始めたことから、開発案件が徐々に減少し始める。景気に左右されにくい運用支援サービスは安定した収益をもたらすものの、利益率が高くない。そこでシステムプランは、新たな収益の柱とするべく、自社ブランド製品の開発に取り組んでいる。(取材・文/畔上文昭)
Company Data会社名 システムプラン
所在地 長野県上田市
資本金 2200万円
設立 1982年5月
社員数 85人
事業概要 ソフトウェア設計・開発、システム運用サポート、コンピュータ機器などの販売、ITコンサルティング
URL:http://www.systemplan.co.jp/ CADで30年以上の実績

原 勝敏
代表取締役社長 システムプランの創業は1982年。受託開発を中心に事業を展開しており、社員のほとんどがエンジニアという技術者集団である。創業当初は都市部の下請け案件を請け負っていたが、長野市に富士通長野システムエンジニアリング(現在の富士通システムズ・イースト)が設立されたことで、技術力を売り込み、パートナーとなった。
「富士通のCADシステムとは約30年のつき合いとなる。開発パートナーとして、CADシステムの開発にも参加していた」と、システムプランの原勝敏社長は語る。CADシステムを起点として、生産管理システムや受発注管理システムなどの周辺システムの開発も請け負ってきている。また、ハードウェアも取り扱うなど、富士通長野システムエンジニアリングとの信頼関係を深めてきた。
ところが、バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマン・ショックなどの経済不況を経るたびにCADシステムの導入案件が減り、それとともにカスタマイズや周辺システムの開発も減っていった。「新規導入や更新が減っても、運用サポートの収益は安定している。できれば、そこを増やしていきたいが、必ずしも利益率が高いとはいえない」と原社長は、運用サポートを重要な事業としつつも、そこだけを注力分野にしていこうとは考えていない。
富士通関連の案件は、現在でも売り上げの約6割を占めるという。ただ、CADシステム案件は減少傾向にあることから、システムプランが新たな事業を模索するきっかけの一つとなった。
手形管理システムに独自性
システムプランは、金融業向けに紙の手型を取り扱うための手形管理システムを提供している。こうした手形管理システムを手がけているのは、日本に数社しかないという。「現在はデジタル化が進んでいるが、紙の手形はなくなることがない。とくに町工場でのニーズが強いことから、信用金庫をターゲットに販売している」(原社長)という。ちなみに、手形管理システムは20年以上の実績があるが、日本NCRからの依頼で開発したパッケージ製品である。
また、システムプランの東京支店では、駐車・駐輪場管理システムなどを提供している。ただ、このシステムもパーキングシステムや運搬機械を手がけるIHI運搬機械の依頼で開発したもので、独自ブランドではない。
こうしたことから、原社長は社長に就任して以来、独自ブランドの確立に注力してきている。
ICタグを起点に製品開発
原社長は、システムプランにおいて三代目の社長となる。この4月が社長就任から6年目。独自ブランドもかたちになってきた。それが、ICタグを活用したソリューションである。
「ICタグを読むための国内基準にあう製品の開発に、真っ先に取り組んだ。例えば、マラソンでランナーのタイムを計測するシステムを開発。鹿児島県の『いぶすき菜の花マラソン大会』で採用された」という。ICタグは、UHF帯のRFIDを使用していて、2~3メートルの距離まで対応できる。バーコードは1件ずつ読み込む必要があるが、ICタグは一気に読み込めるため、箱の中に入っていても、そのままデータを取得することができる。病院の看護師が利用する白衣に選択可能なタグをつけ、クリーニング管理に活用している事例もあるという。さらに、高齢者の徘徊を防止するための管理システムも手がけた。このようにICタグ関連のソリューションが自社ブランドとなりつつあるが、そこに固執することはない。
「当社はシステム開発に強みをもっているので、その技術力を生かして新たな自社ブランドを育てていきたい。ただ、顧客ニーズに応えるには、どうしてもハードが絡むことになるため、ハードベンダーと提携が必要となる。できれば、県内の企業と提携したい」と原社長は望んでいる。