日本国内におけるブロックチェーン技術の普及啓発などを目的として、今年4月25日に発足したブロックチェーン推進協会(BCCC、平野洋一郎理事長)。その第1回総会が6月30日に開催された。当日は、「デジタルJPY(円)通貨」構想をはじめとした新たな取り組みが次々に明らかとなった。(前田幸慧)
総会では、BCCCの具体的な活動内容として、ブロックチェーンの普及・啓発、セミナーやイベントなどの広報的役割を担う「普及委員会」、ブロックチェーンへの自社システムやサービス適用、および協会内での実証実験などを行う「技術委員会」、協会の運営、他団体との連携を行う「運営委員会」の三つの委員会が紹介された。それぞれの委員長を、BCCC理事の大谷 健・日本マイクロソフト エグゼクティブプロダクトマネージャー(新規ビジネス担当)、同副理事長の杉井靖典・カレンシーポート代表取締役CEO、同理事長の平野洋一郎・インフォテリア社長が務め、うち、普及委員会と技術委員会は7月に本格的な活動を開始した。
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34社で発足したBCCCだが、第1回総会開催時には62社まで増加。
ブロックチェーンや同協会活動への注目度の高さがうかがえる。
なかでも、技術委員会は、杉井委員長が今後のプロジェクトの構想について語り、「日本円と等価でペッグする『デジタルJPY(円)通貨』をブロックチェーン上に発行し、流通させる社会実験を進める」と発表した。杉井委員長は、その第1段階として「BCCC会員企業のサービス内で通用する相互決済環境の構築」を目指し、デジタル円発行方式の技術検討や、それに伴う実務の洗い出し、業務フローの設計、法的側面の検討、論文発表などを行うと説明。ほかにも、ブロックチェーンと秘密分散ストレージとの連携や、リング署名と呼ばれる匿名署名方式を用いて機密情報を担保する技術の開発、秒間数万~数十万件に及ぶトランザクションへの対応などに取り組むプロジェクトを発足することを明らかにしている。
「ブロックチェーン大学校」でエンジニアを育成
また、今回の総会でブロックチェーン技術についての体系的な教育を受けることができる場として「ブロックチェーン大学校」を開校すると発表した。同校の運営はBCCC加盟企業で、仮想通貨関連事業を手がけるビットバンクの協力のもと、BCCCの技術委員会が運営。まずは同協会加盟企業を対象に受講者を募る。ビットバンクの廣末紀之代表取締役CEOは、ブロックチェーンに精通した技術者不足を背景に、ブロックチェーンを活用した産業発展のためには「エンジニアの絶対数を増やす必要がある」といい、「まずはBCCC加盟企業のエンジニアに学んでもらうことで全体のレベルアップを図る」との意向を示した。