ガートナーは情報システムを、その特性に応じて「モード1」と「モード2」に分類している。
■モード1:変化が少なく、確実性、安定性を重視する領域のシステム
■モード2:開発・改善のスピードや「使いやすさ」などを重視するシステム
モード1は、効率化によるコスト削減を目指す場合が多く、人事や会計、生産管理などの基幹系業務が中心。モード2は、差異化による競争力強化と収益の拡大を目指す場合が多く、ITと一体化したデジタルビジネスや顧客とのコミュニケーションが必要なサービスが中心だ。両者は併存し連携するから、どちらかだけに対応できればいいとはならない。むしろ、モード1からモード2へのシフトが進んでいく。だから、モード1に関わるビジネスで収益を上げられるうちに、モード2への取り組みを進め、人材の再配置やスキルの転換を進める必要がある。
その際に注意すべきは、従来のモード1のやり方がモード2では通用しないこと。不確実性の高まるビジネス環境において、事前に要件を完全に固めることはできず、現場のニーズに臨機応変に対応し、俊敏・迅速に開発や変更の要求に応えなくてはならない。そのためにはアジャイル開発やDevOpsを取り入れるしかない。
変化を許容するモード2は、ITとビジネスの一体化が進んでいるから、ビジネスの現場とシステムの開発は緊密になる。ゆえに、ITの立場からビジネスへの提案が求められる。つまり、ビジネスの成功にどう貢献すればいいのかをITの立場で考え、そのゴールを業務の現場と共有して開発や保守、運用を進めなくてはならない。
こんなモード2に対応できる人材は、ビジネスプロセス全体を見渡し、ビジネスの成功に貢献できる仕組みが設計できなくてはならない。一方で、これまでのような特定領域での経験の蓄積に依存した仕事しかできない人は、やがてクラウドサービスや人工知能に置き換えられていく。さらには、簡便にシステムを開発、運用できるツールやサービスを使いこなす現場ユーザーが増えてゆくことも想定し、スキル・チェンジを進めていく必要がある。
この変化は加速することはあってもとどまることはない。「まだ何とかなる」は、リスクの高い判断となる。
ネットコマース 代表取締役CEO 斎藤昌義

斎藤 昌義(さいとう まさのり)
1958年生まれ。日本IBMで営業を担当した後、コンサルティングサービスのネットコマースを設立して代表取締役に就任。ユーザー企業には適切なITソリューションの選び方を提案し、ITベンダーには効果的な営業手法などをトレーニングするサービスを提供する。