既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(18)ブロックチェーンの現状と課題、識者はどうみる (5)
2016/11/09 16:04
週刊BCN 2016年10月31日vol.1651掲載
前号に引き続き、GLOCOMシンポジウムのパネルディスカッションでのブロックチェーンに関する議論から、ブロックチェーンがもつ可能性に関するパネリストの声を紹介する。(本多和幸)
現状では、その成り立ちを考えれば当然ではあるが、ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号通貨)周辺がブロックチェーンの実用化が最も進んだ領域といえる。日本IBMコグニティブ・ソリューション事業ブロックチェーンアーキテクトの高城勝信氏は、「いま本番できちんとビジネスができる市場になっているのは両替所。ビットコインの国内取引高が今年7月で2000億円を突破したという報道があったが、それだけの規模の市場があるというのは大きい。さらに、日本の場合は改正資金決済法が整備されているので、よその国よりも安全というか、オフィシャルなかたちでビジネスができる体制が整っていて、フォーカスをあてたい領域だ」とコメントした。
インターネットも段階を経て進化してきた
一方、MITメディアラボ研究員の松尾真一郎氏は、ブロックチェーンをどのように使えばメリットが発揮できるのかについて持論を披露した。同氏は、「パブリックチェーンを使うという前提だが、時系列的に変化するオープンなデータをずっと記録して、何かと合わせ技で確認したいというケースでブロックチェーンは生きる」と話し、その根拠についても説明。「時系列を追えるような改ざんされないデータを蓄積できる、それに誰でもアクセスできる、そこで誰でも新しいエコシステムをつくることができるというところにブロックチェーンの妙味がある。それで利便性があがるようなデータは公開したほうがいいんじゃないかというインセンティブが働いていくだろう」と解説した。
さらに、ブロックチェーンを活用した新しい市場をどうつくっていくかについても言及。「インターネットが登場したといっても、1996年頃にはUberのようなサービスが出てくるなんて誰も想像すらしていなかった。最初にメールがあって、ウェブがあって、ブログみたいなものができて、SNSが出てきて、GPSとスマートフォンが普及してデバイスから多くのモノ(情報)が取ってこられるようになって、という何段階かの進化を経てUberは出現した。ブロックチェーンで実現できる画期的なサービスも、同じように段階を経てできあがるものだと思う」と話し、まずはブロックチェーンの特性を生かして新しいビジネスを興し、マネタイズを試みるプレイヤーのための環境整備をしていくことが重要との見解を示した。また、インターネットビジネスの歴史を踏まえ、ブロックチェーンの基礎技術よりも、その上でのサービス構築に日本の企業は注力したほうが得策であるとも指摘した。
前号に引き続き、GLOCOMシンポジウムのパネルディスカッションでのブロックチェーンに関する議論から、ブロックチェーンがもつ可能性に関するパネリストの声を紹介する。(本多和幸)
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