AI

　人工知能の英訳「Artificial Intelligence」の略。膨大なデータを学習したり、推論をしたりして、人間の脳のように機能するソフトウェアを指すことが多い。

　Artificial Intelligenceという言葉は、1956年に米国で開催された国際学会「ダートマス会議」で初めて使われた。命名したのは、米国の計算機科学者、ジョン・マッカーシー氏。

　人工知能に関する研究は、それ以前から行われていた。ただ、人間の知性や知能を定義するのは難しく、現在も人工知能の定義については、専門家によって意見が分かれている。

　ダートマス会議後から、人工知能はブームと冬の時代を繰り返してきた。2000年代は第3次ブームにあたる。機械学習が実用化され、ディープラーニングが登場したことが背景にあると考えられている。

　過去2回のブームでは、実用化には至らなかったが、今回は、具体的な課題の解決に役立つことが期待されている。一部の企業では、すでにコールセンター業務や接客などで人工知能が使われている。

　また、自動車メーカーが研究機関を設立し、産学連携で研究を進めるなど、利活用に向けた企業の動きは活発化している。人工知能は今後、幅広い産業分野で導入が加速すると予想されている。

　シンクタンクのEY総合研究所は、15年9月に公表したレポートで、15年に3兆7450億円だった人工知能関連産業の市場規模が、20年に23兆638億円、30年に86兆9620億円に達するとの見通しを示した。

シンギュラリティ

　「技術的特異点」と訳す。主に人工知能（AI）の分野で使われている。人間の能力をはるかに上回るAIが出現し、今までとはまったく異なる社会が実現する時点などと解釈されている。

　米国の未来学者、レイ・カーツワイル氏が、2005年に著書「The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology」で論述したのがきっかけで、世界的に有名になった。

　特異点は、数学的には関数の値が無限大に近づき、特定のルールやパターンにあてはまらないことを意味する。IT業界では、AIがこのまま進化を続けると、人間の理解や予測が及ばなくなることを指す場合が多い。

　具体的には、29年にAIが人間の知能を上回り、45年にシンギュラリティが起こると予想されている。将来的にAIが新たにAIを生み出し、人間を支配するという見方もあり、「2045年問題」として取りざたされている。

　コンピュータに知性があるかどうかを調べるチューリングテストに初めて合格したほか、チェスや囲碁、将棋の分野では、人間がAIに負けることもある。技術は著しく進歩しており、2045年問題については、専門家の間でも賛否両論だ。

　ただ、シンギュラリティが、本来とは違った意味で広がっているという指摘もある。カーツワイル氏の著書の副題は、和訳すると「人類が生命を超越する時」。シンギュラリティは、人間とAIが融合し、大きく進化することを示唆しているという。