IzumoBASEは、国内のスタートアップではめずらしい、ストレージソフトウェアを開発・提供しているSDS(Software Defined Storage)ベンダーです。それも単なるSDSではなく、セキュリティ商材としての側面ももつとか。同社におじゃまして、話を聞いてきました。
どんな会社なの?ストレージソフトウェアを開発・提供している会社です。
荒川淳平社長(右)とセールスの石井輝亜氏 IzumoBASEは、東京大学でストレージ仮想化や分散ストレージを研究してきた荒川淳平社長が創業した東大発ベンチャー。独自の強みをもつファイルストレージタイプのSDS「IzumoFS」を開発・提供しています。
何が特徴なの?秘密分散技術、インライン重複排除機能が目玉です。
秘密分散は、情報をいくつかの欠片に分散し、定めたしきい値以上の分散片を集めることで情報を復元できるというセキュリティ技術の一種です。IzumoFSはこの技術を搭載し、データの安全性を高めています。荒川社長は、「ストレージ向けに完全にインテグレーションした秘密分散機能を提供しているのは世界初」だと強調します。
もう一つの特徴であるインライン重複排除は、データを書き込む際に重複するデータがあればそれを排除して保存する機能。「データを数分の一から数十分の一まで削減できる」そうです。同機能を搭載するSDSは珍しいとのことで、荒川社長は「ハードウェアにしがらみをもたず、ソフトウェアしか開発していないので実現できる」と説明します。
これらのほか、特定のハードウェアに依存せず、汎用のOSやプロトコルに対応できるというSDSならではのシンプルさやとコストアドバンテージがポイントです。
ビジネスの手応えは?今年に入ってからも、引き合いは好調です。
セールスの石井輝亜氏によると、「とくに秘密分散機能をきっかけに、医療や官公庁から評価いただいている」とのこと。ほかにも、扱うデータ量の多い建設や放送、キャリアやデータセンター事業者からも引き合いが多いそうです。SDSへの関心が高まりつつあるなか、「SDSベンダーとして、国内で確固たるブランドを確立する」(荒川社長)ことを目指します。
よろしくIzumoBASE
世界初の機能をもつIzumoFSには、スタートアップならではの勢いを感じます。一方で、企業活動のインフラを担うストレージだけに、導入に際しては実績も求められます。ベンチャー企業にとってここはネックとなるところ。しかし、「今後、より大きな導入が増えれば本格的に普及できる」と語る荒川社長。現在、同社の製品はユニアデックスが担いでいますが、そうしたパートナーとともに販売やソリューション開発に力を入れ、実績と信頼の獲得に動いていきます。IzumoBASEは「IzumoFS」でイッポ前へ!