オンプレミス

　サーバーやネットワーク機器などのハードウェアを企業などの組織内に設置、運用すること。オンプレミスは、英語で「on-premise」などと表記する。premiseは、日本語で「敷地内」や「構内」との意味があり、企業では「自社運用型」などといわれる。

　クラウドが登場するまで、メインフレームやオフィスコンピュータといった大規模なハードウェアを社内に設置し、システム担当者が管理、運用する方法が一般的でオンプレミスという呼び方は存在しなかった。

　用語としてオンプレミスが使われるようになったのは、2000年代に入ってから。組織内のシステムをクラウドに移行する動きが広がり、従来型のシステムを指す目的で定着したと考えられている。

　オンプレミスの特徴は、システムを自分たちで保有するため、組織内の要望に合わせてカスタマイズしやすい点が挙げられる。また、情報を閉じたネットワーク内に保管できるため、強固なセキュリティ対策となることもメリットとされている。

　一方、システム構築に必要な初期コストは割高になりがちで、導入には比較的長い期間が必要。ハードウェア障害時は、組織内で対処しなければならない。

　クラウドへの移行は確実に進んでいるが、最近は、ハイパーコンバージドインフラを使い、組織内でプライベートクラウドを構築する動きもでてきている。オンプレミスへの揺り戻しが起きている。

クラウドコンピューティング

　従来、オンプレミスで構築するのが一般的だったシステムを、インターネット経由で利用することを指す。ユーザーは、必要な時に必要な機能を必要なぶんだけ利用できるため、ムダな投資を抑えることができる。

　クラウドコンピューティングは、1990年代後半に米国で提唱された。その後、米グーグルのエリック・シュミット元CEOが2006年、米国で開催されたイベント「Search Engine Strategies Conference」で言及したことがきっかけで、世界中に広まったといわれている。

　「クラウド」と呼び始めたのには諸説あるが、インターネットを「雲（cloud）」として捉えたことが由来とする説が有力だ。

　クラウドコンピューティングで提供されるシステムは、インターネット上で仮想化されていることが最大の特徴。ハードウェアを自前で用意する必要はなく、低コストかつ短時間で導入することができる。

　組織内に設備を設置しなくてすむため、災害に強いのも強みだ。日本では11年の東日本大震災後、危機管理に対する企業などの意識が高まり、クラウドの需要が増したという調査結果もある。

　クラウドコンピューティングサービスでは、アマゾンの「アマゾン ウェブ サービス（AWS）」が世界で最も大きなシェアを獲得している。クラウドの市場は右肩上がりの成長が見込まれており、ほかにもマイクロソフトやグーグル、IBMなど、多くのIT企業がサービスを提供している。