既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(54)日本の学術界から産学連携主導の動き
2017/08/30 09:00
週刊BCN 2017年08月21日vol.1690掲載
前回の連載では、TIS・音喜多功氏の「黎明期にあるブロックチェーンの普及に向けては、学術界と連携して商用化、実用化までのプロセスを踏むべき」という指摘を紹介したが、そうした課題意識を現実の取り組みにつなげる動きが日本の学術界からも出てきた。(取材・文/本多和幸)
慶應義塾大学SFC研究所と東京大学生産技術研究所ソシオグローバル情報工学研究センターは7月24日、ブロックチェーン技術のオープンな国際産学連携グループとして、「BASEアライアンス」を設立すると発表した。BASEという名称は、「Blockchain Academic Synergized Environment」の頭文字をとったもので、「ブロックチェーンの学術研究環境における産学連携のシナジーを意図した」という。
BASEアライアンスの設立に至った両者の課題意識は、要約すると、「将来の情報システムの技術基盤として期待されるブロックチェーンだが、その実現のためには、オープンな議論のもとに技術を継続的に改善していく必要があり、研究開発や実験実証をする場も必要」というもの。国際的な産学連携のコミュニティを形成し、その受け皿にしようという狙いがある。
アライアンスの活動では、ブロックチェーンに関心をもつ大学教員や研究者と企業所属の会員が相互に連携して、研究開発、実証実験、コミュニティづくりに取り組む。具体的には、「ブロックチェーン技術全般についての研究開発」「ブロックチェーンを用いたアプリケーションの研究開発」「既存および実装したブロックチェーン技術を用い、実験実証するテストベットの構築、運用、および、その研究」「国際的産学連携コミュニティの醸成」の四つのテーマを主軸として、テーマごとにワーキンググループを設置して活動していく計画だ。
伊藤穰一氏、松浦幹太氏、村井純氏らが発起人に
発起人には、MITメディアラボ所長も務める慶應義塾大学SFC研究所の伊藤穰一・主席所員、東京大学生産技術研究所の松浦幹太教授、慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授が名前を連ねた。伊藤氏は、BASEアライアンスの設立について、次のようにコメントしている。
「インターネットは、それ以前には存在しなかった技術のアンバンドリングをもたらした。起業家と企業にそれぞれのレイヤでプロダクトとサービスを構築する機会を与え、通信会社や政府の許可なしにイノベーションの爆発をつくりだした。同じようなオープンアーキテクチャがブロックチェーンによって新たに出現しようとしている。インターネットがそうであったように、ブロックチェーンを統治する標準は、複数のステークホルダーによって開発され、学術機関と研究機関がその開発の中心となるのが最良だろう。インターネットのアーキテクチャと同じくらい自由で柔軟性のあるブロックチェーンのためのアーキテクチャの構築を行うキープレーヤーの一つにBASEアライアンスがなることを願っている」。
前回の連載では、TIS・音喜多功氏の「黎明期にあるブロックチェーンの普及に向けては、学術界と連携して商用化、実用化までのプロセスを踏むべき」という指摘を紹介したが、そうした課題意識を現実の取り組みにつなげる動きが日本の学術界からも出てきた。(取材・文/本多和幸)
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