「生きがい創造企業」を理念に掲げるルネサンス(吉田正昭社長)は近年、業界国内3番手の位置につけるスポーツクラブ経営を軸に、企業・自治体の健康経営や介護リハビリへと事業領域を拡大している。こうした流れで、これまで以上の業務スピードの向上とコンプライアンス強化を図るべく、かねてより悩みの種だったメールシステムのレスポンス速度と容量不足、およびセキュリティ対策に手を打った。
【今回の事例内容】
<導入企業>ルネサンス
DIC(旧大日本インキ化学工業)の社内ベンチャーとして、1979年に創業。「スポーツクラブ ルネサンス」の経営を中心に、自治体や企業などでの健康づくり支援の他、介護リハビリ施設などを含め、全国150か所以上の施設を展開。14年からベトナムにスポーツクラブを出店し、海外でも展開している。
<決断した人>
右から
金高信行
IT戦略部課長代理
野田文徳
IT戦略部主任
本社やスポーツクラブ店舗におけるITシステムの保守メンテナンスを担当
<課題>
メールシステムの慢性的なレスポンスの遅延および容量不足。また、外部とのやりとりにおけるデータ(とくに個人情報を含むもの)の取り扱いに課題があった。
<対策>
サイバーソリューションズの「CyberMail」「MailBase」「MailGates」を導入した。
<効果>
レスポンスの遅延、容量不足の問題が解消。また、外部へのメール送信にあたり、添付ファイルはすべて自動で暗号化されるようになり、人に依存していた運用から脱却できた。
<今回の事例から学ぶポイント>
社内のIT不満を解消し、業務効率化や生産性向上につながった。
グループウェアとの連携を重視
ルネサンスではかねてから、ウェブサーバーとメールサーバーを分けて運用。トラブルはなかったが、メールシステムのレスポンスの悪さや容量不足に悩まされていた。
IT戦略部の野田文徳主任によると、「システム自体は安定して動いていたものの、メールの送受信や仕分けの処理について相当の時間がかかっていた」。さらに、「メールボックスの容量が一人あたり500MBの割り当てとしていたため、すぐに容量がいっぱいになる。メールの削除が日次のタスクのようになっている人もいて、ストレスを与え、不満の声も多かった」といい、業務に支障が出ていたと話す。
また、同社ではもともと、グループウェアとメールを連携させて利用しており、従業員の多くが「グループウェア=メール」と捉える傾向にあった。メールシステムを変えるためには、グループウェアも変える必要があったということだ。
そこで、グループウェアを刷新するタイミングに合わせて、新たなメールシステムの導入を検討。比較検討の末、サイバーソリューションズの統合型メールシステム「CyberMail」とメールアーカイブ・メール監査システム「MailBase」の採用を決めた。
導入にあたり最も重要視したのは、グループウェアとの連動性だ。「先に導入するグループウェアが決まっていた。その製品とCyberMailの親和性が高いということと、高速レスポンスと大容量メールボックスがセールスポイントであることが決め手になった」と野田主任は説明する。
CyberMailとMailBaseの導入で、レスポンスの遅延は解消。メールボックスの容量も標準で1GB、MailBaseでさらに2GB分を拡張できるようになり、実質、従来の6倍に容量が増えた。このほかに、ActirveDirectoryとの人事情報連携が自動で行えることも評価。「役職」「等級」以外に「セクション」という、自社ならではの情報をメールシステム内に表示するようにした。「圧倒的にパフォーマンスが向上し、レスポンス速度やメールボックスの容量に関する社員からの不満の声も聞かなくなった」と野田主任は語る。
添付ファイルの暗号化を徹底
生産性を低下させていたメールシステムの問題が解決したところで、次の課題に取り組むことに決めた。セキュリティ対策である。
ルネサンスでは、外部とのメールによるコミュニケーションに関して、「個人情報を含むファイルは暗号化して送信する」というルールを定めている。しかし、「過去にはそのルールが徹底できていなかったこともあり、ITリテラシーは決して高いとは言い切れないので不安もあった」と、IT戦略部の金高信行課長代理は打ち明ける。
スポーツクラブの現場では、イベントの大会エントリーや参加者リストといった、会員の個人情報も扱う。また、最近では地域の健康づくりに貢献するため、健康体操などの自治体と協力したイベントを催し、報告書などのやり取りもある。
「当社の事業領域が広がっていくなかで、企業や自治体など、BtoBのやり取りが増えることを考えると、セキュリティ対策の重要性が増す」と金高課長代理は説明。そこで、メールセキュリティ対策製品の導入を決断した。既存のメールシステムとの連携や過去の取引での実績や信頼を加味して、サイバーソリューションズのスパム対策やメール審査、メール暗号化機能などを搭載する統合型メールセキュリティソリューション「MailGates」を導入した。
これにより、外部に送信するメールの添付ファイルはすべて暗号化を自動で施すことが可能になった。ITリテラシーの有無にかかわらず、ユーザー自身が意識することなく、暗号化を徹底できるようになり、外部に対するセキュリティを強化することにつながった。
より便利な使い方を模索
今後は、メールシステムのさらなる利便性の向上を目指し、社内で議論を進めていく方針。現時点では、「外部のシステム、例えば名刺管理サービスとの連携ができればと考えている。現在は名刺情報をアドレス帳に転記しているので、その作業をなくせたら」「ベトナム拠点でも使えるように多言語対応を強化したい」など、アイデアを膨らませている。
「特別、ここがこうよくなったというような声を聞くわけではないが、間違いなく見えないところで業務の効率化や生産性の向上にはつながっている」と手ごたえを実感。引き続き、システムに磨きをかけながら活用法を見出していく考えだ。