既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(67)ブロックチェーン同士を安全につなげる技術を開発
2017/12/13 09:00
週刊BCN 2017年12月04日vol.1705掲載
富士通研究所は、それぞれ異なるブロックチェーンで発行・管理される仮想通貨間の交換や決済を、簡単かつ安全に実行できるセキュリティ技術を開発したという。ブロックチェーンの普及を推し進めることになるか。(本多和幸)
個人や企業が独自の仮想通貨を発行・販売して資金調達する「ICO」や、金融機関独自の仮想通貨発行など、ブロックチェーン上で仮想通貨を発行して新しいビジネスを始めようという動きが盛り上がっている。こうした動きが一般化し、社会に浸透すれば、当然、異なるブロックチェーン上で発行された仮想通貨同士を交換するなど、ブロックチェーンをまたいだデータの交換需要が高まる可能性が高い。
富士通研究所によれば、そうした場合に課題となるのは、「ブロックチェーンの間に位置する、変換レートや手数料を適用するなどの業務処理を行うアプリケーションの透明性を確保することと、複数のブロックチェーンの取引タイミングを制御して、連続する一連の取引として扱えるようにすること」だという。同社は、この課題を解決する技術として、「コネクションチェーン」を開発した。
スマートコントラクトの拡張と
トランザクション制御がキモ
コネクションチェーンは、発注や支払いなどの業務手続や契約処理を自動化するスマートコントラクトの拡張技術と、独自のトランザクション制御技術で構成される。
スマートコントラクトは、従来、一つのブロックチェーンに閉じた範囲でなければ動作しなかったが、コネクションチェーンでは、複数のブロックチェーンがかかわる処理にも適用できるようにした。具体的な仕組みとしては、ブロックチェーン同士を連携させるための専用のノード(連携ノード)をたて、接続用のブロックチェーンであるコネクションチェーンを構築する。この連携ノードを経由し、二つのブロックチェーンから該当する取引処理が含まれるブロックのデータを抽出して、それぞれの取引処理を紐づけることにより、「業務処理を含む一連の取引がコネクションチェーン上で一つのスマートコントラクトとして自動で実行可能になる」という。同社は、「アプリケーションではなく、ブロックチェーンそのものの仕組みを使って紐づけや業務処理を実行することで、透明性が確保され処理の正しさが確認できる」としている。
また、トランザクション制御技術では、「これまでのブロックチェーン取引にはない、資産の保留状態を実現する資産預託の概念を設計した」ことで、ブロックチェーンをまたいだ資産移動の制御を実現した。「資産の移転元で、取引処理を確定させずに資産を一旦保留状態にして、移転先の通貨移動を確認してから資産移転元の取引状態を確定させることも可能。トランザクション全体の成否に応じて取引を確定させたり、取り消すことが可能になった」という。
富士通研究所は、それぞれ異なるブロックチェーンで発行・管理される仮想通貨間の交換や決済を、簡単かつ安全に実行できるセキュリティ技術を開発したという。ブロックチェーンの普及を推し進めることになるか。(本多和幸)
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