視点

今後も一歩先の情報を届ける

2024/01/10 09:00

週刊BCN 2024年01月01日vol.1997掲載

 先日、前職で十数年前に勤務していた土地を訪ねた。今となっては当たり前だが、新幹線や在来線特急の切符はインターネットで購入できる。スマートフォンさえあれば、そもそも発券する必要はない。窓口に並んで買い求めていた当時よりも利便性は格段に向上したと感じた。

 現地に到着し、事前に連絡を取っていた知人や友人と久しぶりに会った。お互いに近況を報告し、思い出話に花が咲いた。なじみの飲食店の味はかつてのまま。現地で過ごしていた日々を回想し、懐かしい気持ちになった。

 地方創生が叫ばれて久しい。人口減少や東京一極集中を是正し、国全体の活力創出を目指すのが主な目的だ。安倍晋三首相(当時)がキーワードとして打ち出したのは2014年で、24年でちょうど10年となる。状況は大きく改善しただろうか。

 インターネットやスマートフォンの登場によって、人々の暮らし方は大きく変わった。往来や情報収集のしやすさは、以前とは比べものにならない。とはいえ、現実として人口減少や東京一極集中は続いており、各地で今後の発展に向けた大きな問題として横たわっている。今回、訪れた地も同様だ。

 企業にとっても、人口減少に伴う人手不足は重い課題になっている。対策の一つとして重要視されているのがITだ。ここ数年を振り返ると、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、RPAなどの技術が注目され、最近は、DXの実現に向けて生成AIが脚光を浴びている。ITの活用に向けて企業は積極的に動いており、関連の投資は堅調に推移。IT企業の好調な業績を支えている。

 IT業界では、はやりの言葉を「バズワード」とやゆすることがある。業界内の諸先輩方に話を聞くと、これまでの歴史の中で、注目されては消えた用語は多くあり、人々の期待が高ければ高いほど、効果がなければ幻滅の度合いは大きかったようだ。

 紙面では、一足先に24年を迎えた。IT企業にとって引き続き追い風が吹くと予想される中、今後もビジネスに役立つ一歩先の情報をしっかりと届けていきたいと思っている。地方創生にしても、DXや生成AIなどにしても、将来、バズワードとして語られないようにするための一助になれば幸いである。

 
週刊BCN 編集長 齋藤 秀平
齋藤 秀平(さいとう しゅうへい)
 1984年4月生まれ。山梨県甲州市出身。2007年3月に三重大学生物資源学部共生環境学科を卒業。同年4月に伊勢新聞社(津市)に入社し、行政や警察、司法などの取材を担当。16年4月にBCNに入社。リテール業界向け媒体の記者を経て、17年1月から週刊BCN編集部に。上海支局長を務め、22年1月から現職。旧姓は廣瀬。
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