視点
ITプロフェッショナルに求められるスキルの再定義
2025/07/02 09:00
週刊BCN 2025年06月30日vol.2065掲載
1. 「あるべき姿」の構想:ITを用いて何を達成したいのか というビジョンを明確に描くこと。
2. AIとの戦略的対話:策定したビジョンに基づき、AIに 具体的な指示を与えること。
3. AIが活躍できる環境整備:AIが効率的かつ安全に機能 するためのデータ、インフラ、プロセスを設計・構築す ること。
ただし、AIは決して万能ではない。
説明責任の壁:AIは最適な解を提示できても、「なぜその結論に至ったのか」という論理的根拠を明確に説明することは困難。特に判断の根拠が重視される領域では、最終的な説明責任と判断は人間が担うことが必要。
内発的動機の欠如:好奇心や探求心、夢といった「何をしたいか」という内発的な動機はAIにはない。人間が目的を設定し、問いを立てることで初めてAIはその真価を発揮する。
暗黙知の壁:AIは言語化された「形式知」の学習は得意だが、経験に基づく勘や共感、身体感覚といった「暗黙知」の領域は不得手。熟練者のノウハウやチームの阿吽の呼吸といった暗黙知を形式知化しAIに連携させる、あるいはAIの形式知と融合させるプロセスには、人間の介在が不可欠。
この変化に対応するには、コンピューター科学やソフトウェア工学といった「基礎・基本」が重要。アジャイル開発やDevOps、クラウド、AI駆動開発、AIOpsなどのモダンITは、全てこれらの上に成り立っている。
AIにより「工数」提供型ビジネス需要が減少する。これからは、顧客の課題解決やビジネス変革を支える「技術力」提供型ビジネスへとシフトしなくてはならない。ITプロフェッショナルはAIを「相棒」として技術力を高め、人間ならではの創造性を追求することで、新たな成長機会をつかむことが求められる。
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