北斗七星

北斗七星 2005年8月15日付 Vol.1101

2005/08/15 15:38

週刊BCN 2005年08月15日vol.1101掲載

▼郵政民営化関連法案が参議院で否決され、小泉首相は衆議院の解散・総選挙に踏み切った。反対票を投じた自民党議員もまさか、こうした事態に陥るとは予想していなかったかもしれないが、そうだとしたら想像力が欠如していたと言われても仕方がない。郵政公社も現状のままでは、いずれ立ち行かなくなるのは少し想像力を働かせれば理解できるはずで、反対する限りは先延ばししても国民負担が増えないと証明する責任がある。

▼1990年にバブルが崩壊したあと、92年に宮澤喜一首相(当時)が不良債権処理を行うために公的資金導入を打ち出した時のことを思い出す。事態の深刻さを理解できていなかった政財界、バブルの責任追及を優先するマスコミが、寄ってたかって潰してしまい、5年後の97年の山一證券、北海道拓殖銀行の破たんへと突き進み、巨額の税金を投入したことは記憶に新しい。

▼e─Japan戦略が利活用の面で目に見えた成果がなかなか表れてこない原因も想像力の欠如にあるのだろう。電子メールの普及が始まったとき、郵政事業がいずれ行き詰ることは容易に想像できたことだし、電子決済や電子マネーが普及すれば銀行の店舗もいずれ不要になるだろう。電子入札が普及すれば談合はやりにくくなるし、電子レセプトによって診療報酬も透明化される。目の前に迫った困難に慄いて、ブレーキをかけようとする力は必ず働くもの。それをどのように突破していくのか。果たして力ずくの解散・総選挙で目的を達成できるかである。
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