北斗七星

北斗七星 2009年12月7日付 Vol.1312

2009/12/10 15:38

週刊BCN 2009年12月07日vol.1312掲載

▼高級ホテルのリッツカールトンは、日本では後発ながら、高い「顧客満足度」を得ている。好評価を支えているのは、進出当時に営業統括支配人を務めていた林田正光・現代表取締役が掲げる「ホスピタリティ/おもてなし精神」だ。平たく言うと、「ノーと言わないサービス=期待を超えるサービス」。ホテルの全従業員にこれを徹底させた。IT業界ではクラウド/SaaSを主体にした「サービスの時代」がやってくるが、この精神を参考にしたい。

▼「期待を超える」とは、何なのか? 例えば、当日予約の電話に出て、満室ならば「あいにくですが…」と伝えるだろう。しかし、同ホテルでは、「お客様は、当日のことで困っておられる」と判断し、「10分ほどいただいて近隣のホテルを探します」と、自社の利益につながらないことでも、各従業員の“裁量”で行っているのだ。

▼これまでSIerなどが手がける案件は「導入すれば終わり」というケースが多かったはずだ。しかし、クラウド/SaaS時代になれば月額単位の利用料金を支払ってもらいながら、サービスを継続的に提供していく必要がある。一方、ユーザー企業にしてみれば、自社のインフラがSIerなどのデータセンターに〝人質〟に取られるわけだから、多くのフィードバックを期待する。この先、ITインフラやアプリケーションなどで差別化することが難しくなることが予想できる。その際、案件獲得の成否を分けるのが、サービスの内容や質の違いになる。
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