旅の蜃気楼

製品に生きる“デザイナーのこだわり”

2010/02/10 15:38

週刊BCN 2010年02月08日vol.1320掲載

【本郷発】還暦を過ぎ、今年の誕生日に61歳となった。なんだか、一挙に年をとった気分になる。老け込まないようにしよう。そのためにも1年に一つ、新しいことへの挑戦と継続を心がけたい。もう23年の間、週一登山を実行していて、これは継続していく。本業の新聞は、週刊BCNの発行を29年間継続している。刷り上がった新聞を持って山に向かうのが習慣になった。

▼その一方で、新しいことへの挑戦もした。昨年のことだ。還暦祝いに、魚釣りに出かけた。山では常に高さを意識している。ところが、船釣りでは逆で、「水深35m付近に魚の群れがいる」という具合だ。釣り糸の深さを調整しながら、今か、今かとリールを巻き上げる頃合いを測る。釣りのベテランと並んで糸を垂れた。隣りはどんどん、魚が釣り上がってくる。こんな様子を横目で見て、こちらに魚の反応がない(と思われる)と、飽きがくる。

▼この違いはリールの差にあるのではと思って、交換してもらう。が、やっぱり同じだ。さらに腐ってしまう。釣りのベテランはいう。「確かにリールは進化している。昔のは重かった」。そこで思い立った。そうだ、リールをつくっている人に会おう。念ずれば願いは叶う。ダイワ精工のリールをデザインをしている人に出会うことができた。岡田清さんだ。金沢美術工芸大学を卒業して、工業デザインの世界に入る。32歳で株式会社ディーアイディーを創業。ダイワの初期のリールからずっとデザインを担当している。22名の社員のうち、20名がデザイナーだ。そのうちの一人にモノづくりに対する考え方を聞いた。「案件やその周辺のリサーチ、新しい技術や素材などへの興味、社内のデザイナー同士のチームワーク、日常からのドキドキワクワクの発見、クライアントとの血の通った深いコミュニケーションによって進めていきます」。無名のダイワを“釣具のダイワ”に押し上げたのはモノづくりにこだわり続けてきた岡田さんの信念によるところが大きい。次回の釣りでは岡田さんがデザインしたリールで釣ってみよう。釣れるかもしれない。(BCN社長・奥田喜久男)

「最初の頃のリールは、外国製品をそっくり模倣したようなものばかりでした」と振り返る岡田さん
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