出版産業向けのシステム開発を行う光和コンピューター。「ITで業界の新たな商取引ビジネスモデルを構築する。出版産業を再生したい」。柴崎和博代表取締役は、「出版産業は変わらないといけない」と話す。それは決意を新たにするかのように、危機感を伴っている。
再販制度や取次と出版社の間にある不均衡な力関係、保守的な業界体質…。柴崎氏は、業界に山積する問題点を指摘する。「出版社はマーケティングができていない。返本率が40%を超えている」。
電子書籍専用端末市場への参入を示唆する柴崎氏。書店を「地域の文化センター」と位置づける。ダウンロード場所を書店に限定するユニークな事業モデルは、大きな反響を呼んでいる。
米アマゾンや米アップル、ソニーなど競合がひしめくなかで、存在感を示すのは容易ではない。理念先行型で終わってしまうのか、これから真価が問われることになる。(信澤健太)