北斗七星

北斗七星 2010年7月19日付 Vol.1342

2010/07/22 15:38

週刊BCN 2010年07月19日vol.1342掲載

▼南アW杯、参院選、そしてIT業界──。最近の話題の共通項として、「踊り場」という言葉が浮かんでくる。W杯では日本代表がベスト16に入る大善戦を演じたが、あと一歩及ばず。そこに「世界の壁」を見た。参院選では、自民党一党独裁の体制が解かれ、「マニフェスト」で真を問う機運だけは高まった。IT業界はいま、国内市場の成熟に見切りをつけ、海外へと向かう途上にある。

▼いずれも、新しい時代を切り開く「次へのステップ」の道筋はできた。しかし、進捗は未だ半ばだ。参院選では、菅首相の「消費税10%」提案のせいかどうかは分からないが、国民は民主党に「ノー」を突きつけた。自民党政権時代は、候補者の後ろ盾が談合団体で、「利権」が優先されていた。こんな風潮が改まりつつあるとはいえ、投票率は依然低く、政策で争う選挙にはほど遠い。

▼IT業界はといえば、“負の遺産”を背負って海外どころか、国内ですら発展の目処が立たない。その要因を説明する論説を目にした。老博堂コンサルティングの佐藤治夫代表が記した「コンピュータ政策失敗の傷跡」という記事だ。同氏はこう言う。「地域会社が地域企業に合致した情報システムを作ることで、企業の数だけシステムができた」。同じようなシステムを別々の地域で作り、コスト高の製品が生まれる。企業側はそれを買わない構図だ。世界に出るには、これらをパッケージ化し、開発・販売が分業し、企業へ浸透させる必要がある。
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