旅の蜃気楼

ケニアのスラム街でアーティストに会った

2010/09/24 15:38

週刊BCN 2010年09月20日vol.1350掲載

 今号と次号は、私が憧れている山、キリマンジャロに登った、社員の吉野理君に稿を譲る。(BCN社長 奥田喜久男)

【ケニア発】今年6月、ケニア・タンザニアを旅してきた。野生の動物と間近に接したり、重装備でないと登れないといわれるキリマンジャロの登頂にも挑んでみた。だが、ケニアの首都ナイロビで心にじんわりと映像を残してくれたのが、ゲットー(スラム街)のキベラだった。

▼テントやら仮設住宅みたいな建物が並び、そこに人がたくさん集まって、売買が行われていたり会話を楽しむ人がいたり、子供が遊んでいたりする…そんな風景。これまで何か国か旅行してきたが、世界遺産やら壮大な大自然の風景なんかよりもじんわりと強く心から離れない光景だった。誰が買うんだろうというような柄のネクタイやシャツが売られていたり、強烈に鼻を刺激する香辛料が陳列されていたり、その場で何かの実の皮をむいて謎の汁につけたものを食べていたり。五感を刺激するには最適の場所である。

▼そんなキベラで訪れたなかで印象的だったところを、今回と次回に分けて二つ紹介しよう。まずはラスタ(レゲエ)のアーティストのアトリエみたいな家だ。木やら草がぼうぼうの所に、丸太で作られた小屋が建っていて、そこが彼らのアトリエ兼菜園のようなものである。入ったときからガンジャ(大麻)のような匂いがしたので、やはりラスタマンとは切っても切り離せないんだなと思った。建物に足を踏み入れると、赤、黄、緑の衣類や小物を身につけたいでたちのアーティストの人が迎えてくれた。奥に通され、梯子で降りていくと中庭に出た。そこには流暢な英語をしゃべる男がいて、彼はいろいろ語ってくれた。樹木を100万本植えようといった国連のプロジェクトにも参加してるみたいで、自然と人間の関係とか、戦争について語っているようだということはなんとなくわかったものの、実際はほとんど理解できなかった。だけど、飾ってある絵みたいなものは間違いなく普通じゃない色。立体感。その作品をこの目で見て、造った人に会えれば、好きになる理由としては十分だと思った。(BCNシステム運用開発部・吉野 理)

キベラには、色とりどりの人の営みがあり、それが心に響く
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