▼SF映画では、人間と同じような感情をもち、次元を超えた腕力を発揮するロボットがよく描かれる。確かにコンピュータの性能は日進月歩で向上し、より高度で複雑な計算・解析を可能にした。人間の不可能を可能にする範囲が広がるほどに、映画で描くロボットへの要求も厳しくなる。

▼米国で放映中の人気テレビ番組「Jeopardy！」で、人間のクイズ王と「Watson（ワトソン）」と名づけられたコンピュータが対決。3日間の戦いの軍配は機械に上がり、この話題は世界を駆け巡った。何百万冊に及ぶデータを機械に打ち込み、質問に対してはこの入力済みの“知識”から回答を出す。だが、そこは全米一のクイズ番組。ひっかけ問題など落とし穴は多い。それでも勝利したワトソンに世界が喝采した。

▼実はこのワトソン、IBMの最新プロセッサ「Power7」を搭載し、同社が数億円を投じて開発した。今のところ、ワトソンの購入を希望する人はいない。だが、この高度な能力を他のITに応用しようと考える人は出てくるに違いない。軍事技術で磨かれた現在のIT。平和利用で技術革新が進むことを望む。（吾）