旅の蜃気楼

アラビア語を身近に感じた一日

2011/03/17 15:38

週刊BCN 2011年03月14日vol.1374掲載

【本麻布発】ここは、アラブ イスラーム学院。東京メトロ日比谷線の広尾駅で下車。有栖川公園の脇を歩いて交差点に出る。警備の厳重な道路のほうに突き進んで、脇の小道に入る。坂を下る感じだ。ほどなくすると、また警官が立っている。表札には、中国大使官邸とある。なるほど厳重な警備もうなずける。その隣に建っているのがアラブ イスラーム学院だ。中国とアラブが隣接することに、何かの縁を感じながら、学院の門をくぐる。モスクではないが、中東の雰囲気は感じられる。今日、3月5日は学院でアラビア語を学ぶ第17期、第18期生の卒業式だ。

▼卒業生は総勢25名。年齢は10代から60代と実に幅広く、女性が多い。「観光旅行でエジプトに行った。現地の人と会話したいので、アラビア語の勉強にきた」という30代の女性。「アラビア語を勉強して外交関係の仕事に就いて、日本とアラブの国々の交流に役立ちたい」と20代の女性。「67歳でアラビア語の勉強を始めた。新たな挑戦をしたい」という男性。アラブの人と結婚しているのだろう、子供を抱っこするお母さんの姿も見られる。

▼日本政府からは二人の来賓があった。国土交通大臣政務官の小泉俊明氏、文部科学省国際統括官の藤嶋信夫氏だ。「サウジアラビア王国はこれまでわが国の原油の3割を供給していただいている、日本にとって最も大切な国であります」と小泉氏。アラブについて私たちが知っているのはアラビア数字くらいのもの。アラビア語となると実に縁遠い。アラビア語は右から左に書き、書道もある。ここアラブ イスラーム学院では言語の学習だけでなく、お祈りも体験できる。中国の西安を訪ねると、そこはイスラム文化が共生しているムスリムの入り口となっている。大陸は地続きであることを実感する。(BCN社長・奥田喜久男)

一人ひとりが明確な目的をもってアラビア語を学んでいる
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