旅の蜃気楼

喧噪の都市、重慶を訪ねて

2011/08/04 15:38

週刊BCN 2011年08月01日vol.1393掲載

【重慶発】中国一の鉄釜といわれる重慶に、四川省の成都から移動した。成都の発車駅は成都東駅。この5月にできたばかりの駅だ。どこかで見た駅舎だ。そうだ、以前、このコラムで失態を記した北京南駅と姿が似ている。今や新幹線は中国経済の発展を促進する交通機関だ。不幸にも最近、事故が起きたが、これを糧にして中国全土に安心・安全な新幹線網を敷いてほしい。

▼成都と重慶間は従来路線では5時間を要するが、新幹線なら2時間15分。東京―名古屋間の感覚で、人口3000万の都市に入る。街の成熟度合いは、北京の10年前に似ていると感じた。現在は街中の至る所で道路工事が行われており、少し郊外はビル建築のラッシュだ。起伏のある土地には古そうなマンションが林立している。道路ではわれ先にとばかりにアクセルとブレーキを踏み込むクルマが氾濫していて、クラクションのやかましさは半端ではない。

▼タクシーに乗る前には値段交渉が始まる。旅行代理店でチケットを申し込むと、交渉が始まる。激しい交渉をするが、成立すれば、ウェルカム状態だ。ホテルをチェックアウトしていると、ポーターが先を争って寄ってくる。その先にはマネーがある。給与水準は上海に比べて数分の一。人の数の多さと物価安と伸びしろが魅力的な市場だ。

▼新幹線の車中で、ネットを使っていたら、突然、つながらなくなった。重慶についたらもう一度立ち上げてみよう。重慶北駅に到着した。縦揺れも横揺れも少ない快適な旅だった。車輛から広いプラットホームに人が溢れ出た。こんなに多くの人たちが乗っていたんだ。駅舎の外に出ると、そこには、さまざまな人がいる。暑いからか、半裸の男も見かける。成都にも半裸の男はいた。さて、ネットはつながるのか。以下、次号。(BCN社長・奥田喜久男)

重慶北駅前の広場。
駅のタクシー乗り場は空車の取り合いだ
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