アドビ システムズの日本法人は、ここ数年、自社製品の中堅・中小企業(SMB)への浸透に悩んでいました。とくに、SMB向けに売りたいPDF作成・編集ソフト「Adobe Acrobat X Standard」は、官公庁や大手企業向けの製品というイメージが払拭できず、行き詰まっていました。
そんなとき、大手流通卸のダイワボウ情報システム(DIS)との“相思相愛”のチャンスが巡ってきたのです。DISは、粗利の高いアドビ製品の販売施策に悩みを抱えていました。そこそこは出る製品ですが、2次店であるディーラーが継続的にアドビ製品を担いでくれないのです。PDFの利用だけでなく、SMBでも社内文書の管理・運用に役立つ製品で、継続して購入するとライセンスが安くなることも知らないディーラーが多く、突破口が欲しかったようです。
アドビ システムズの日本法人が打ち出したのは、「チャネルOEM契約」という世界初の施策でした。パソコンメーカーにしか与えない資格を特別にDISに付与したのです。施策を打ち出すにあたって、本社を口説くのは大変だったでしょう。国内のIT流通を知り、それを本社に説明する資料を揃えて、初めて実現したことです。IT流通を知らなければ、モノは売れないということを象徴するできごとです。(谷畑良胤)
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世界初、アドビの「Acrobat」バンドルPCを大手流通卸のDISが販売メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.11.7」より