旅の蜃気楼

天津の工業区、今が進出の好機か

2011/11/24 19:47

週刊BCN 2011年11月21日vol.1408掲載

【天津発】中国・天津市の街なかを流れる「海河」という名の川がある。西から東へ、海に向かって流れている。川沿いには租界当時に建てられた欧州の建物が並ぶ。夜にはライトアップされて、上海の外灘の風景とはひと味違う、落ち着いた大人の雰囲気を漂わせる。天津の人口は1000万人余り。四つある直轄市の一つだ。人口順に記すと、重慶3200万人、上海1400万人、北京1200万人そして天津となる。天津は、北京の8年前を歩いているとみていい。

▼天津には、すでにトヨタ自動車などが入居している工業区がある。今回の中国訪問では、2009年から開発が始まった津南区の大きな工業区を歩いた。縦横ともに20kmの広い敷地だ。その中心には、今年4月に開校した海河教育園区がある。第1期には七つの学校ができて、第2期は天津大学や南開大学も開校する。いずれ20万人の学生が在校できる規模になる。

▼その周辺にある三つの工業区を見学した。電子情報、バイオ医療の双港工業区。電子部品の設計、ソフト開発の海河工業区。人工知能、精密機械製造の八里台工業区。さらにこの周辺にも工業区がある。天津市政府が考案した人材育成と生産機能を一体化した工業区だ。市内から津南の工業区に沿って四車線の天津大道が走る。教育、生産、出荷の導線がついている。

▼広い工業区には、ホテルが3か所、ゴルフ場が2か所ある。すでにゴルフ場は開業していて、その日もゴルファーがクラブを振っていた。その周囲は別荘が取り囲むという。別荘同士は地下の道路で結ばれ、クルマはここを走る。「あと2年ですべてが形になります。日本の企業に、今、名乗りをあげていただきたい。政府が全面的にサポートします」と言うのは、天津津南区副区長の竇双菊さん。天津市は温家宝首相の出身地だ。市場としての伸びしろも大きい。(BCN社長・奥田喜久男)

海河教育園区の記念碑の前でパチリ。右から二人目は趙仲華氏。津南工業区の常務副区長ですでに常務区長が内定している。左端は副区長の竇双菊さん
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