「absonne」「T.E.O.S.」「SOLTAGE」―――
横文字が並んでいますが、業界人である読者のみなさんなら、これらが何を指すのか、ピンと来るのではないでしょうか。そうです! SIerのサービスビジネスの中核を担うクラウドサービス基盤の名称です。左から順に、新日鉄ソリューションズ、TIS、キヤノンMJグループがそれぞれ独自に開発。データセンター(DC)設備と業務アプリケーションサービスの中間に位置するミドルウェア群です。
既存のITシステムやAWSなどの外部パブリッククラウドと連携したり、大規模な基幹系システムの運用に耐えられる設計にしたりと、それぞれ特徴を出しています。例えばキヤノンMJグループの場合は、複合機やスマートデバイスとの連携といったハードメーカーのグループ企業らしい特徴をもっています。
DCを活用した旧来型のハウジング/ホスティング、仮想化サービスといった単純なものから脱却し、ユーザー企業が求めるサービスやネットワークを標準化したプラットフォーム上で連携・統合することで、付加価値を高めると同時にコストを削減。いわばクラウドサービスの“標準OS”の役割を担っています。
ユーザーごとに“OS”を手づくりしていたのでは、時間もコストもかさみます。そうではなく、多機能で柔軟性の高い“標準OS”をあらかじめ用意しておくことで、納期やコストを下げ、競争力を高める。ライバルとの差異化の源泉となるミドルウェア開発競争が、より一段と激しさを増しそうです。(安藤章司)
【独自のクラウドサービス基盤に関する記事はこちら】
主要SIerの首都圏第3世代DC 活発な受注に大きな手応え 独自プラットフォーム開発が鍵を握るメールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.7.26」より