日本のオフショアソフト開発の約8割は、中国への発注です。昨年9月、日中間の政治摩擦が発生して、一時はビジネスへの影響が懸念されました。しかし、そのときから今日まで、中国のSIer(システムインテグレータ)が故意に納品を遅らせた、あるいは品質が落ちたなどという話は、一度たりとも聞いたことがありません。それだけ中国のSIベンダーは優秀で、仕事に熱心なのです。
しかし彼らにとって、ここ数か月の円安は相当こたえているようです。ある中国の有力SIer幹部は、「島(尖閣諸島を巡る一連の騒動)より為替の影響のほうがはるかに大きい」と悩んでいました。中国では、国内のインフレや人件費の高騰で、数年前から「次に円安に振れたら採算が合わなくなる」といわれていました。
今後、中国の対日オフショアベンダーは、人月単価の値上げやSEの稼働率の向上、一回の受注量を増やすスケールメリットの追求、付加価値の高い上流工程へのシフト、開発拠点の内陸部への移転など、さまざまな対策を打ち出してくるものとみられます。
情報サービス業界としては、20年以上にわたって仕事をしてきた中国SIerとの関係を失うわけにはいきません。両国のSIerが知恵を出し合って乗り越えていく必要がありそうです。(安藤章司)
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<パートナーの力を生かす“5か条”>地場に根ざすビジネスを立ち上げろメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.3.14」より