▼世界最大規模のワイン品評会「IWC」の日本酒部門で最優秀賞を受賞した富久千代酒造(佐賀県)の「鍋島・大吟醸」を地元の人は「ワインのように甘くて滑らかな味」と評する。地場産業の認知度が低い佐賀県で、存在を知らしめた効果は大きい。

▼その佐賀県の夏は、高校野球県予選が熱かった。県立有田工業高校と私立の早稲田佐賀高校が激突。普通、県民は県立高校を応援するが、今年は違った。早稲田大学を創立した大隈重信の出身地が佐賀であることを知る人は少ない。「もし早稲田佐賀が優勝していたら、全国に知れ渡って、地場産品を売り込むチャンスだった」とタクシーの運転手が残念がっていた。

▼県庁は、地元の売り出しに懸命だ。最高情報統括監(CIO)を中心に、地元中小企業をITで支援する地場ITベンダーの体制づくりを進めている。ただ、多くの地場ITベンダーは、自治体の基幹システム構築で食ってきた。このCIOは自治体クラウドを推進し、トップダウンで公共IT案件を効率化する動きを強めている。

▼100年以上続く佐賀の和菓子屋には大量の顧客データが眠っている。「これを掘り起こし、データ活用してはどうか」。CIOは企業を巡回して呼びかける。佐賀を見習って、地元企業の再興にITを活用したい。(吾)