北斗七星

北斗七星 2013年12月2日付 vol.1508

2013/12/05 15:38

週刊BCN 2013年12月02日vol.1508掲載

▼M&A(合併・買収)という経営用語が日本で流布し始めたのは、1980年代の初頭だったと記憶している。バブル経済がピークを迎えた頃だ。ベンチャー企業の経営者が、自ら起こした会社を売りに出す「会社の商品化」が珍しくなくなった時代の始まりでもあった。

▼「年功序列」「終身雇用」が多くの企業で幅をきかせていて、愛社精神という言葉が死語ではなかった時代のサラリーマンにとって、会社が売り物になるということは感覚的に受け入れがたいことであっただろう。群れてこそ力を発揮する日本人は、企業の買収・合併に際して、どんな行動を取るのか。おそらく、元の会社ごとの派閥を形成する動きに出るものと思われる。

▼M&Aによって規模の拡大を図った企業に「目に見えない壁」が出現している。最近では、みずほ銀行がその典型だ。「One MIZUHO」のスローガンが皮肉と思えるほど、旧三行の連携がまったく取れていない。合併による規模の拡大で、世界で戦える企業体力をつけるという狙いは理解できる。だが、合併後の人心掌握と融合こそ経営トップが成すべき大事業であることを、みずほ銀行は教えてくれる。(仁)
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