『週刊BCN』の連載「営業マネージャーたちの最前線」では、IT企業で奮闘している営業リーダーに、営業現場での様子やマネージャーとしての工夫などを語っていただいています。ここでは、紙面では掲載しきれなかったエピソードをご紹介します。 *「営業マネージャーたちの最前線」本編は『週刊BCN』1521号(3月10日号)に掲載しています。ぜひご覧ください。

[語る人]

●profile..........
小川 敬史(おがわ たかし)
 1998年、内田洋行に入社。大阪支社で2年間営業に携わった後、名古屋の拠点に異動。二人体制で販売網を構築し、中部ビジネスの拡大につなげた。2012年、ERPパッケージ「Super Cocktail Innova」事業の立ち上げとともに現職に就き、東京本社勤務に。Innovaの直接販売を統括するほか、パートナーの獲得に取り組んでいる。

●所属..........
情報事業本部
情報システム事業部
プロダクト営業部
営業2課
●担当する商材.......... ウェブベースのERPパッケージ「Super Cocktail Innova」
●訪問するお客様.......... エンドユーザーのほかに、大手SIerやソフトハウスなどパートナー企業
●掲げるミッション.......... 間接販売網を構築し、Innova事業を伸ばすこと
●やり甲斐.......... Innova事業の体制を立ち上げ、販売の成功パターンをつくる
●後輩を率いるコツ.......... 「忙しいから対応できない」とは言わせない
●リードする後輩.......... 2人

 仕事のかたわら、2010年に中小企業診断士の試験を受験し、経営の観点からビジネスの改善を考える中小企業診断士の資格を取得した。当社のように中堅・中小企業(SMB)向けの事業を展開している会社は、営業スタッフがお客様の経営層のパートナーになって、いっしょに業務改革に取り組むことが重要だと考えている。私一人だけではなく、営業をはじめとする若手社員にも、そうしたパートナーとして活躍してもらうために、2012年の11月から13年の6月まで、中小企業診断士の知識を生かして、ビジネスについての理解を深める勉強会を開いた。

 勉強会の目的は、若手社員に「ビジネスの視点をもって経営者と会話ができるセンス」と「システム以外の観点から業務改善の提案ができるスキル」の二つを身につけてもらうことだった。中小企業診断士の資格をもつ管理職社員2人とともにカリキュラムを練って、12年11月から週1回、夜に行った。参加したのは20代後半~30代前半の約10人。課題抽出と解決策の演習を重ねながら、社内講師の友人が経営する会社にお願いして、実際の企業の経営診断を行った。

 通常業務との兼ね合いもあって、勉強会は途中で欠席者や離脱者が出た。しかし、せっかく社内外のいろいろな人を巻き込んで実現した企画なので、みんなが本気で参加しなければ意味がない。約束を守らないスタッフに、「大変だけど、君のためになる」と、参加を促した。こうしてモチベーションを高めることで、フェードアウトしてしまいそうな雰囲気を打ち破り、勉強会を最後まで続けることができた。

 ちなみに、勉強会のお客様の経営診断工程では、私たち講師は枠組みだけを教え、具体的な診断内容には口を出さなかった。参加者は土日も経営分析や資料づくりに取り組み、お客様のシステム面だけでなく、財務面・商品企画やマーケティングにまで提言を行った。その結果、診断先の社長から「ぜひ採用したい提案があった」といううれしい言葉をいただいた。

 きっかけだけを提示してあげれば、若い社員は自分で考え、やり遂げることができる。今後も、勉強会の開催などを通じて、ビジネスの「センス」と「スキル」をもつ人材を育てていきたい。