中国では、ネット通販が破竹の勢いで成長しています。直近の小売業の売り上げランキングをみると、蘇寧グループと、ネットサービス大手のアリババグループが運営する天猫(TMALL)がトップを争っています。
蘇寧グループは日本のラオックスを買収した大手小売業グループとして有名ですが、ネット通販の天猫が猛追。野村総合研究所(NRI)の調べによれば、このまま行けば、天猫が蘇寧を追い抜く可能性が高いということです。
中国の流通・小売業は、日本ほど成熟していないにもかかわらず、すでにネット通販がトップの座を奪おうとしているのです。固定電話回線の普及というステップを飛び越えて、携帯電話があっという間に中国全国に広がったことを思い出します。
新興市場では、何段かのステップを飛び越えてビジネスが展開されるといわれますが、天猫の躍進は、既存の小売業の成熟を待たずして、ネット通販が中国の消費者に受け入れられていることを示しています。
日本のような成熟国がかつて歩んできた経験に照らし合わせて「ビジネスは順を追って成長する」とみるのは、少なくとも中国では大きな間違いといえそうです。(安藤章司)
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<中国ビジネスの先駆者が伝授する 進出を成功に導くための心得とノウハウ>第6回(最終回) 日中が関係を改善し 良好なビジネス環境を築くための提言メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.4.17」より