おそらく読者の皆さんのなかにも多くのヘビーユーザーがいらっしゃるであろう「Evernote」。かくいう私も（無料）ユーザーです。先日、CEOのフィル・リービン氏にインタビューする機会を得ました。

　全世界ですでに1億人を超えるユーザーを獲得し、このカスタマーベースを生かして、近年、ビジネス向けサービスも始めたEvernote。米西海岸から出てきた企業ですので、かなり挑戦的な成長ビジョンを描いているかと思いきや、リービンCEOから語られる言葉は堅実そのもの。これには感動すら覚えたのですが、とくに印象に残ったのが、「ユーザーとの利益相反をなくし、シンプルなビジネスモデルを長く維持することが大事」という言葉です。

　翻って、国内のIT市場はどうでしょう。ベンダー側が市場環境の変化に対応できず、既存のビジネスモデルから脱却できていないがゆえに、ユーザーとの「利益相反」が生じていないでしょうか。とくに「クラウドを売る」という観点で……。

　ちなみに、リービンCEOがそうした経営哲学にたどり着いたのは、100年以上存続する企業の経営手法を徹底的に研究した結果とのこと。先の読めないIT業界、ブレない哲学の下に変化に対応するのが、案外、長生きの秘訣かもしれません。（本多和幸）

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