BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『仕事が9割うまくいく雑談の技術』

2014/07/17 15:27

週刊BCN 2014年07月14日vol.1538掲載

雑談の効用を再認識

 営業部門に配属された新人は、上司や先輩から「キドニタテカケシ衣食住」という言葉を聞いたことがないだろうか。初対面の相手であっても会話がはずむ魔法のキーワードといわれている。キ=季節の話題、ド=道楽の話題、ニ=ニュース、タ=旅の話題、テ=天気の話題、カ=家族・家庭の話題……と続く。要するに、雑談のきっかけをつかむネタがこのキーワードに詰まっているというわけだ。

 人と接するのが仕事の営業部門の人たちは、雑談がコミュニケーションの潤滑油になることをよく知っている。とはいえ、すべての営業担当者が雑談を得意としているとは限らない。「何を話していいかわからない」とか「挨拶した後、沈黙になったら、気まずい思いをする」などで、雑談を敬遠する人がいる。とくに男性に多いようだ。

 雑談ができない(うまくない)からといって、ビジネス生活に支障が生じることはないかもしれない。それだけに、雑談を真正面から考える機会は少ないだろう。この本は、雑談の効用やスキルをまじめに探究しているところが興味深い。

 雑談は、基本的に何を話してもかまわないし、型にはまらない会話だが、いくつかの心得を覚えておくとよいと著者は説く。「会話に軸や結論を求めない」「どんな方向に話が転がっていっても、元に戻そうとしない」「話の落ちを求めない」「まとめようとしない」「会話の流れにまかせる」。雑談で大切なのは、内容ではなく、「会話をした」という事実なのだと結論づけている。(仁多)


『仕事が9割うまくいく雑談の技術』
──人見知りでも上手になれる会話のルール
ビジネス科学委員会 著
角川書店 刊(781円+税)
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