IBMは、IT業界のビジョナリー(先見の明がある)とよくいわれます。これまでも「オンデマンド」や「スマートシティ」「SMACS」など、さまざまなキーワードを創出してきましたが、直近の注目は「エンゲージメント」。
「婚約」や「適合」のイメージが浮かびますが、情報システムでいうエンゲージメントとは、常に新しいデータをリアルタイムで更新していく、組み合わせて融合していくスタイルを指すようです。従来のERP(基幹業務システム)やバッチ処理といった「レコード(記録)」方式の対義語ともいえます。
レコード方式のままでは、市場の伸びが限られてしまうことから、IBMは、伸びしろが多いと期待されるエンゲージメント方式のシステム分野への投資を増やすというわけです。
ご存じの方は多いかと思いますが、エンゲージメント方式には、ビッグデータ分析に代表される高負荷処理が求められます。ハードウェアからソフトウェアに至るまで、高度な技術革新がなければ達成できません。
これが他社との差異化になり、従来のレコード方式ではなし得なかった高収益モデルを構築できるというもくろみのようです。次から次へと新しい概念を打ち出し、これをビジネスにつなげる才能は、IBMが「ビジョナリー」と称えられるゆえんでもあります。(安藤章司)
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