ITベンダーがどのようにアジア市場を捉えているのかを考えるとき、いくつかのキーワードがあります。その一つが「メコン経済圏」です。ITホールディングスグループのTISが積極的に使っている言葉で、具体的にはタイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアの主にインドシナ半島の国々を指しているとのこと。タイを除けば決して大きい市場ではないのかも知れませんが、TISは将来の成長の可能性を重視しているようです。
このほかにも、10か国から成るASEAN全体を捉える見方や、マレーシアとインドネシアのイスラム圏を重視する動き、旧仏領インドシナのベトナム、ラオス、カンボジアの市場開拓に関心を示すベンダーも。さらにはイスラム圏を拡大して、バングラデシュや中東まで視野に入れる見方など、さまざまです。もちろん、南アジア最大の国家、インドも欠かせないでしょう。
日本の情報サービス業全体で考えた場合、「右向け右」で日系IT企業が一か所に群がってレッドオーシャンを形成するより、ある程度、各社がそれぞれの戦略で多角的にブルーオーシャンを探し求めるほうがリスクの分散になるともいえます。たとえ今は小さい市場でも、今後の成長力やライバルとの競合具合など、中長期のパラメータを加えると、また違った見方ができそうです。(安藤章司)
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