いよいよ『このミステリーがすごい! 2015年版』(このミス)が出ました。今回、第1位に輝いたのは、米澤穂信の短編集『満願』。米澤穂信といえば、漫画にもなった「古典部シリーズ」が有名ですが、私が一番好きなのは、地方都市で暮らす高校生、小鳩常悟朗と小佐内ゆきの不思議な日常を描く「小市民シリーズ」です。
「小市民シリーズ」は、『春期限定いちごタルト事件』に始まり、その後『夏期限定トロピカルパフェ事件』『秋期限定栗きんとん事件(上・下)』と続きます。ちなみに、『春期限定~』の2004年の刊行から今年で10年がたちますが、シリーズを完成させる待ち遠しい『冬期限定~』はいまだに出ていません。米澤穂信は『このミス』のインタビューで「プロットはできたが、執筆は少し先になる」と語っていました。
小説って不思議です。読んだ後、内容は徐々に忘れていきますが、頭のどこかに無意識の知識として残ります。この12月で退任する日本IBMのマーティン・イェッター社長の「実績」を探る特集記事に、「さよなら、マーティン」という見出しをつけました。業界のなかで反響を呼んだのですが、なぜこんな見出しをつけたのかは、正直いってうまく説明できませんでした。
でも、『このミス』で紹介していた米澤穂信の作品年表を読んで、思い出しました。「もしかして、無意識のうちに……」。そもそも米澤穂信の小説が好きになったきっかけが、2004年2月に刊行された 『さよなら妖精』だったのです。(ゼンフ ミシャ)
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さよなら、マーティン “異例”の日本IBM社長が残した「実績」はメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.12.16」より