▼五輪施設の建設が間に合わないという情報は、もはや定番となったようだ。外国のていたらくを嘲笑してきたが、東京五輪も例外ではなかった。話題の新・国立競技場で、開閉式屋根の建設を先延ばしにするという。東京五輪の1年前に開かれるラグビーW杯の開催前に完成する予定であることを考えれば、遅れは尋常ではない。

▼建設の計画変更を公表したのは、下村博文・文部科学大臣だった。施工を担当する大手ゼネコンのトップが謝罪すべきと思ったが、まだ施工業者が正式決定していないという。建築の難易度が高いことから、リスクを避けるために、仕様が確定するまでは契約を結ばないのだそうだ。施工業者にとっては、賢い選択である。

▼マイナンバー（社会保障・税番号）制度で中核を担うシステムは、数百億円という大規模開発になる。入札の前に、大手ITベンダーを交えて仕様を固めてきたことを思うと、建築とITの類似性を垣間見ることができる。

▼下村大臣の説明に不快感をあらわにした舛添要一・東京都知事。初めて公式に聞いたのだという。図らずも情報弱者ぶりをアピールすることになってしまった。（風）